要介護状態の改善や維持を目的に、川崎市が独自に取り組む「かわさき健幸福寿プロジェクト」の第3期が7月から始まり、253事業所(9月21日時点)が参加している。前期は年間344事業所が参加したが、市内の対象事業所数の1割に満たなかった。市は参加を促す一方、目標値は設定せず前年同数を目途としている。
同プロジェクトは、要介護度の改善が事業所の介護報酬減につながってしまう現行の介護保険制度の矛盾を解消しようと、2016年に始動。利用者の自立支援に貢献した事業所を評価し、報奨金5万円を支給することで介護サービスの質向上を目指している。
第2期の参加利用者516人のうち、要介護度が改善したのは73人。報奨金対象となったのは126事業所だった。参加対象の市内介護事業所や高齢者施設は計3944(4月時点)で、このうちプロジェクトに参加したのは246(第1期)、344(第2期)。増加しているものの、全体の1割程度にとどまった。
介護ケアの意識向上に力点
前期まで参加した登戸の居宅介護支援事業所のケアマネジャーは「結果的に要介護度は変化しなかったが、各事業所や利用者本人、家族も協力的だった」と振り返る。
一方、介護ケアに対するスタッフの意識向上や多職種連携の活性化など参加意義を理解しながらも、現状はケアマネジャーから誘われないと参加しにくいという声もある。中野島で訪問介護事業を営む女性は「回復見込みがあるかという見極めもポイント。参加検討中の利用者が骨折してしまい見送るケースもあった」と指摘する。
市担当者は「2年間を踏まえ、広報に関してパンフレット配布などでは足りないと、今年5月ごろから事業所に訪問して直接説明している。件数だけでは測れない事業なので、意義や意図を理解して参加してほしい」と話している。
上がり続ける介護保険料の抑制も視野に入れた同プロジェクト。4月時点の市内の要介護等認定者数は3年前に比べ6252人増え、5万4538人。多摩区では7470人(938人増)となっている。
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