川崎市は公共施設のAED(自動体外式除細動器)取り扱い基準を見直し、14年ぶりに新指針を定めた。今回の指針では設置すべき場所を追加し管理基準を明確にしたほか、職員の訓練の必要性を盛り込むなど、活用の機会を増やす方針が示されている。
AEDの取り扱いが一般に認められた2004年の翌年、市は設置施設に関する基準を策定。18年10月までに649台を公共施設に配置してきた。
しかし17年度の行政監査において、当時の市の基準と厚生労働省が13年に通知したAEDガイドラインで、設置場所の基準等に違いがあることが判明。市は改めて統一基準の策定を進めていた。
新たな指針では、これまで対象外だった障害者施設を「設置すべき施設」に追加。障害者施設は区役所などと同様に利用者や職員が多く、心停止の発生頻度が高い「規模の大きな公共施設」と判断された。これを受け、今年4月には川崎区の「わーくす大師」と「わーくす大島」、高津区の「市社会復帰訓練所」にAEDを設置。19年度は他の公共施設にも15台の増設を予定している。
さらに、各施設が独自に担ってきた管理基準も統一。休日や夜間の市民利用に対応するため学校のAEDは屋外に設置し、収納は無施錠にする。河川敷グラウンドなど、管理場所がなく設置が難しい施設は、所管する部局が近隣の設置場所を案内板などで周知していく。
指針を定めた市健康福祉局の担当者は「以前は管理に関する基準がなく、施設に任されていた。基準を共有することで設置場所が速やかにわかるなど、誰でも使える環境整備を進める」と話す。新指針では、職員が心肺蘇生を実施できる体制づくりとして「およそ3年ごとのAED講習受講に努める」など、計画的な訓練の必要性も示している。
17年7月から18年9月の期間に公共施設でAEDが使用された事例は、区役所やスポーツ関連施設で5件にとどまる。市消防局の担当者は「操作法が分からず、使用を控えたケースも想定される」とコメント。市民も含め講習参加を促し、AEDの有効活用を呼びかけたいとしている。
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