集中豪雨等による河川氾濫に備え、川崎市はドローンなど新技術を導入する方針を固め、協力企業を7月から募集している。市民への的確な避難情報発令に生かすのが狙いで、先端技術を持つ民間企業に対し、市内の河川を実験場として提供する。実験を踏まえ、ドローン技術や精度の高い水位予測ができる仕組みの導入を目指す。
3年前から同様の施策を行う国は、水面の下の測量もできるドローン技術を採用。河川を立体的に把握する技術で、水の流れの予測に役立てている。また、台風など強風下でも被害調査ができる全天候型ドローンを導入し、コストや危険性の抑制で成果をあげている。
二ヶ領用水実験場に
実験場として市が民間企業に提供するのは、矢上川や二ヶ領用水など市が管理する21の河川、平瀬川や五反田川など県が管理する4つの一級河川(重複河川含む)。市は「実際に市内を流れる身近な河川を企業の実験対象にしてもらうことで、その河川特有の水位予測を行い、データを集積したい」としている。水位予測技術を高め、今まで課題となっていた避難情報を適切なタイミングで発令し、市民の安全につなげたい考えだ。
さらに、市はリアルタイムで河川を監視する方法を検討。現在使用している静止画カメラに加え、動画を撮影し続けるライブカメラや、全天候型ドローンの導入も視野に入れている。
この取り組みについて、災害現場で使用する技術を開発するアジア航測(株)(麻生区)の研究者は「例えばドローン技術は、洪水現場では、どの範囲まで浸水したかをいち早く確認することができ、航空機よりも早く救助隊に情報が伝わる」と話す。
現場実験にかかる費用は全て企業負担だが、実験場所の確保により自社の技術力向上につなげられるメリットがある。市担当者は「大規模地震で地形が変形するようなケースでも、早期に測量できる技術や人員面の効率化など可能性は広がる」と期待を寄せる。
応募企業は審査に通り次第、実験に着手していく予定だ。
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