川崎市は10日、2020年度の予算案を発表し、風水害対策として81・9億円を盛り込んだ。昨年の台風19号で被災した家屋の解体撤去、多摩川緑地の復旧に加え、避難所機能の充実や実践的な防災訓練の実施など今後の体制強化に、今年度の93・5億円とあわせて総額175・4億円を充てる。
災害復旧に関しては、台風19号で全壊・半壊した1千戸超に上る家屋の解体撤去などに約19億円を計上。多摩川の増水で被災した多摩川緑地の運動施設などの復旧や、内水氾濫で水没した市民ミュージアムの収蔵品の修復も進める。
災害時に備え、避難所や区災害対策本部に置く医療救護用の資器材を充実。災害関連死を防ぐため医薬品の備蓄も強化する。防災・減災については、水害を想定した訓練、自主防災組織への活動支援、防災計画の見直しなどにも取り組む。
福田紀彦市長は台風19号による被災以降、「地域のつながりの重要性」を強調してきた。その「地域防災力」を高めるため、町内会・自治会への加入促進を強化するとともに、地域防災を支える消防団員の年額報酬を1万4500円引き上げ、団員を確保し災害対応力を向上させる。
聖火リレー「一体で」
その他、今年開催される東京オリンピック・パラリンピックでは、事前キャンプ地として受け入れる英国代表チームの応援や交流事業などに3億4千万円を計上。7月1日に市内を走る聖火リレーと出発式が市制記念日にあたることから、福田市長は「川崎の資源を生かして、市民一体で盛り上げたい」と話す。
子育て対策では待機児童解消に向けて施設の受け入れを拡大するほか、昨年の児童刺傷事件を受けて園外活動時の安全確保のための支援も新たに盛り込んだ。
借入総額は667億円
一般会計当初予算は6年連続で過去最大の7925億円。将来の借金返済のために積み立てている減債基金からの新規借入金は120億円で、2012年度決算からの借入総額は667億円に膨らんだ。
歳出では人件費と扶助費、公債費からなる義務的経費が4347億円で予算の54・9%を占めた。本庁舎の建て替えや京急大師線連続立体交差を含む施設整備などの投資的経費は、前年度比160億円増の1078億円。会見で福田市長は「(市税の)制度是正を国にも働きかけながら4年後の収支均衡化を目指す」と語った。
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