幕末・明治期に活躍した浮世絵師・月岡芳年(1839〜92)の最晩年の代表作『月百姿』。同作を一挙公開する企画展が先月から、川崎浮世絵ギャラリー(川崎駅前タワー・リバーク3階)で開催されている。
『月百姿』は月にまつわる物語や伝承を題材ととしながらも、戦国武将や美女など歴史上の人物をはじめ、妖怪や幽霊、動物達が登場。能や謡曲から得た題材も多く描かれるなど、変化に富む作品として知られる。
芳年は12歳で武者絵を得意とする歌川国芳に弟子入り。『英名二十八衆句』で名をはせ、初期の頃は凄惨な場面を描いた「血みどろ絵」のイメージを強く残した。同ギャラリー学芸員の蛭田裕紀さんは「生涯を通じて武者絵、歴史画、美人画、新聞錦絵など多彩な画業を残し、晩年に到達したのは張りつめた緊張感が漂う、妖しくも静謐な世界だった」と語る。
企画展の前期は9月13日(日)まで。後期は作品を入れ替え、9月19日(土)から10月18日(日)まで開かれる。計124点を展示。
同ギャラリーは、屈指の浮世絵コレクターである斎藤文夫氏の収集品を展示。午前11時から午後6時30分、月曜休館。一般500円。(問)【電話】044・280・9511
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