消防ヘリコプターの操縦士2人体制を定めた国の新基準を受け、川崎市は消防航空隊の増員を検討。現状の昼間2人・夜間1人体制から常時2人への移行を目指す。予算確保や必要な訓練など対策を段階的に進めていく。
消防ヘリは火災への散水や水難救助、救急搬送のほか、災害時の情報収集、警戒パトロールを担う。川崎市消防航空隊は県内の広域応援活動にも従事。定員は操縦士6人と整備士5人、専任航空救助員5人の16人で、昼間と夜間に分かれ24時間体制で勤務する。
総務省消防庁が昨年示したヘリ運航に関する新基準では、操縦士2人体制のほか、拠点で指揮をとる運航責任者の配置などを定めた。同隊では増員など体制強化を必要としており、特に専門性の高い操縦士の定員については、2人程度増やす必要があるとしている。
同隊の運営費は、今年度を含む過去5年の平均値による試算で4億1千万円。これをもとに市は、現状3千万円の県補助金を来年度は約9800万円要請している。
22年度から猶予3年間
操縦士2人体制は22年度施行だが、資格等の面で猶予がある。しかし、25年度以降は事業用操縦士などの基本的な資格に加え、同隊が有するヘリの機種限定免許の取得者が2人で搭乗しなければならない。機種限定免許は訓練に2カ月半ほどかかり、ヘリ2機を有する同隊では操縦士の2人増員につき免許取得に約1億2千万円が必要とされる。森杉一彦隊長は「全国的に操縦士が不足している上、すでに機種限定免許を持っているような人材は集まりにくい」と頭を悩ませる。
さらに、乗務要件には民間等での機長経歴「1千時間以上」がある。若手操縦士が経験を積める農薬散布などの需要は減少しており、森杉隊長は「乗務要件を満たすには時間がかかるため、ハードルは高い」と指摘。高齢化を背景に、操縦士確保は多くの自治体で課題とされ、若手の養成が求められている。
同隊は1985年、東京にある公共用ヘリポートに新設。当初は平日昼間のヘリ1機体制だったが94年に2機になった。
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