川崎市と厚生労働省は1月27日、新型コロナウイルスのワクチン集団接種を想定した訓練を全国に先がけ、幸区で実施。運用スケジュールが不透明な中、福田紀彦市長は「医療従事者の手配や個別、巡回接種など課題を整理する必要がある」と気を引き締める。
訓練は市立看護短期大学の体育館で、予診から経過観察まで一連の流れを確認。標準的な体育館の広さで、1日あたり約300人に接種できることが判明した。予診では、健康相談などで時間がかかるという課題も浮かび上がった。
福田市長は「全国的にワクチンへの期待が高まる中、スピード感が求められるが、先走らず緻密に、丁寧に進めていく」と強調。「実情に合わせた正しい情報発信を国に要望する」とした。
受け入れに壁も
ワクチン接種の運用に向け、市は集団のほか個別や巡回などあらゆる手段を検討していく。市医師会との協力状況について、福田市長は「情報は共有しており、これから何が必要かお願いしている」と説明。担い手不足だけでなく、国からの情報に不確定要素が多いなど運用への課題は多い。
市医師会の岡野敏明会長(岡野内科医院=登戸)は「個別接種を診療所で行う場合、一般の患者に対応しながら接種の予約を個々に受けなければならない」と指摘。接種後は経過観察の時間が15分以上定められ、「待合室の場所や相談スタッフも必要。受け入れは診療所にとってハードルが高い」と現状を表す。
岡野会長は「副反応など不測の事態も考えると、進行が滞り、予約どおり接種を行うのは困難になる可能性もある」とも。「被接種者は少なからず不安を抱えている上、医師たちも経験したことのない未知数のワクチンのため、慎重にならざるを得ない」との見解を示している。
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