登戸・川崎新田ボクシングジムの元日本ライトフライ級、フライ級2階級制覇王者・黒田雅之選手(35)が6月16日、現役引退を表明。翌日、本紙に心境を語った。
2020年10月、現バンタム級世界3団体統一王者の井上尚弥選手とのスパーリングで、左肘の腱を断裂。手術を経て、今年1月に再起戦を戦ったが判定で敗れた。けがは完治せず、「ボクシングにしがみつきたくない。これ以上やると縛られてしまう」と打ち明けた。「お疲れさま」「もったいない」と各方面から声が寄せられ、「リアクションをしてもらえる選手でいられたのは幸せ。17年間、地域の方々に支えてもらった」と感謝をにじませた。
黒田選手は2005年5月にプロデビュー。11年に日本ライトフライ級、17年に同フライ級王座を獲得し2階級を制覇した。19年には、13年以来2回目となる世界挑戦で、IBF世界フライ級王者のモルティ・ムザラネ選手(南アフリカ)に挑んだが、判定で涙をのんだ。この日、後楽園ホールには約2千人が詰めかけ、福田紀彦川崎市長をはじめ多くの地元関係者が応援。観戦した多摩区観光協会の末吉一夫会長は「多摩区を大きく盛り上げてくれた存在だった。王者に果敢に挑む姿は今も記憶に残っている。勇気をもらった」とその雄姿を惜しんだ。
2年前、正社員として就職した訪問介護サービス等の(株)SOERUTE(麻生区)では勤務を続ける。黒田選手は「スポーツを通じて、老若男女問わず皆さんを幸せにしたい」と夢を誓った。
三好選手、初防衛
16日の川崎新田ジム主催興行では、同ジムの日本女子フェザー級王者・三好喜美佳選手(38)が藤原茜選手(34)=ワタナベ=と判定で引き分け、初防衛に成功。三好選手は「東洋太平洋を狙い世界を目指したい」と語った。
同ジムは今回、「かわさきYUMEシート」を創設。座席を割引価格でスポンサー企業に購入してもらい、市内の小中高生や障害児、児童養護施設の利用者を無料招待する仕組みだ。当日は19人が観戦。新田会長は「今後も夢や感動を提供していきたい」と思いを込めた。
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