今春から多摩区遺族会の会長を務める 大津 昭己(しょうみ)さん 宿河原在住 80歳
帰らぬ父、今も探して
○…戦没者の慰霊を中心に活動し、会員は約170人。発足から50年を迎え、今までの歩みを冊子にまとめている。「若い人たちへ引き継いでいくためにも、整理が必要」と意義を語る。来年の夏に向けて、戦争の悲惨さを次代へ伝える催しも計画している。ロシアのウクライナ侵攻――戦争の惨状が報じられる今、語気を強める。「我々と同じ境遇の人が世界で生まれている。絶対に同じ思いをしてほしくない。戦争を再び起こしてはいけない」
○…父の記憶はない。タイで戦病死したと国から通知があったのは20歳のときだった。母は女手一つで4人の子どもを育てた。貧しかった少年時代、穴の開いた運動靴を素足で履いて、雪が積もった稲田小の校庭で遊んだ。「寒かった。みんなの履くゴム長靴がうらやましかった」。家計を助けたいと、中学を出てすぐに就職した。働きながら通信教育を受け、国家資格を複数取得。半導体の開発に長く携わり、多くの仲間たちから信頼を得てきた。
○…25歳で結婚し、2人の子どもを授かった。「おやじに怒られたり、褒められたことがないから」と、父としての立ち振る舞いに戸惑った時期も。だが、信頼を置く妻と話し合いながら乗り越えてきた。「妻のおかげ」と照れ臭そうに感謝の言葉を口にする。
○…定年後、父が亡くなったとされる地域を訪ねた。向かったのは現地の寺院。帰還兵が港に着くたび足を運び、夫の姿を探した母のことを伝えた。「おやじも同じように祖国の家族を思っていたのかな」。自然と涙があふれた。父の遺骨はまだ見つかっていない。今年、遺骨の身元を特定する国の事業にDNA鑑定の申請をした。「まだ、おやじを探しているんだよ」とつぶやいた。
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4月19日