今年2025年は巳年。干支にちなんで、麻生区下麻生にある「籠口ノ池(ろぐちのいけ)」に伝わる、徳川家ゆかりの「白蛇伝説」に迫る--。
この池に伝わるのが、江戸幕府2代将軍・徳川秀忠の夫人で、大河ドラマの主人公にもなった「お江与(えよ)の方」にまつわる伝説。亡くなった後、彼女が白蛇に化身し、闇夜に籠口ノ池の水を飲みに来たというものだ。そのため、翌朝、池の周りの草が倒れていた、という話もある。
川崎市文化財団が発行する「川崎歴史ガイド」によると、江戸時代初期、この一帯は、お江与の嫁入りの際に与えられた領地(御化粧領)だったという。彼女が他界した寛永3(1626)年には、王禅寺村の名主をはじめ、350人もの百姓が、棺かつぎや葬儀の供を命じられたといわれている。
現在は公園に
当時、耕地を潤すための溜池だったこの池は、今日では雨水の調整池へと変わり、周辺エリアは「籠口ノ池公園」として市民の安らぎの場となっている。
近隣に住み、麻生区の歴史を紹介した本『地図で辿る思い出のふるさと』の編集にも携わった高桑光雄さん(76)は、「今は公園として整えられているが、昔はショウブなどの植物が茂り、うっそうとしていた。それが神秘的で、伝説と親和性があったのかもしれないね」と話した。
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