市政報告 四日市に学ぶ環境と未来 川崎市議会議員 自民党 ひろた健一
環境委員会委員長として先月10日と11日、四日市市と名古屋市の環境学習施設や水処理施設等を視察しました。特に高度経済成長期の公害問題を乗り越えてきた四日市市の取り組みについては、同じような問題を抱えてきた川崎市にとっても学ぶ点が多々ありました。
公害体験を生かした環境モデル都市へ
戦後、石油コンビナートの稼働に端を発した「四日市公害」では、ばい煙による大気汚染が発生し、周辺住民に呼吸器系疾患の健康被害が多数発生する事態となりました。そんな中、同市は1965年に全国に先駆けて公害健康被害者に対する医療費救済制度を実施。さらに、排ガスに含まれる硫黄酸化物の総量規制や公害防止設備の設置など、官民一体となって産業と環境の両立を進め、日本の公害問題の解決への道を開きました。
今回視察した「四日市公害と環境未来館」は、従来の公害発生当時のイメージが残る四日市市を変えていこうと、2015年に開館した施設です。「過去の公害と向き合うこと」「公害を克服した現在の四日市市の状況を正しく発信する必要があること」を課題に、公害の歴史と教訓を次世代に伝え、産業の発展と環境保全を両立させてきた取り組みや培ってきた環境技術などを国内外に広く発信する拠点施設となっています。四日市公害の関係者の証言や裁判の映像、現在の市の取り組みなど、これまでの変遷を体感的に学ぶことができました。
川崎市の公害克服
川崎市の工業・産業は20世紀初頭の多摩川沿いへの工場の集積に始まり、臨海部の埋め立て事業による京浜工業地帯の造成で大きく発展しました。しかし、同地帯の中核として日本の高度経済成長時代をけん引した川崎は、四日市市と同様に大気汚染や水質汚濁などの甚大な公害を経験。一時は「公害のまち」と呼ばれていましたが、企業と行政らの取り組みにより安心して暮らせる生活環境を取り戻してきました。
浮島処理センターにある環境学習施設「かわさきエコ暮らし未来館」には、公害を克服した川崎の歴史を見る展示もあります。現在も大気汚染対策に加え、地球温暖化対策など多角的な取り組みが必要です。環境に優しいまちを未来へ継承するため、さらなる取り組みを推進していきます。
|
|
|
|
|
|
3月29日