高層住宅の震災対策強化へ 市が適合証を交付
川崎市は高層集合住宅に備蓄スペースや防災対応トイレなど震災対策強化を推進する「川崎市高層集合住宅の震災対策に関する施設整備要綱」をこのほど発表した。要綱を満たした高層住宅には「整備基準適合証」を交付する。
昨年3月の大震災の影響で市内の高層集合住宅では、水道、電気などライフラインの停止や備蓄品の不足などが発生した。中でも10階以上の上層階住民は、エレベーターが停止したことで階段しか移動手段が無くなり復旧までの期間、生活に様々な支障が出た。
市ではこうしたトラブルを回避するための要綱を作成した。この要綱によると、地下を除く10階以上の高層集合住宅では、5階ごとに最低1ヵ所、居住者が利用可能な食料や飲料水、生活必需品などを備蓄できる「防災スペース」を確保するほか、停電時でも使える照明器具が備えられている水道管直結給水方式などの「防災対応トイレ」の設置を求めていく。川崎市は「一人ひとりが災害に備えてもらうことはもちろん、高層集合住宅では管理組合など共助の部分での備えも重要になる。今回の取り組みが災害に向けた強化対策の一つになれば」と話している。
川崎市では、10階建て以上の集合住宅はおよそ560棟(2005年都市計画基準調査)におよび、この2年間で約20棟が新築されているという。区内でも小杉を中心にタワーマンションが増えているため、高層集合住宅の防災に対する取り組みの重要性が高まっている。市は「今後予測される首都圏直下型地震に対する備えは急務。東日本大震災を教訓として高層集合住宅への震災対策用施設の設置を推進していく」と話す。
また、高層集合住宅では自主防災活動も広がりつつある。小杉にある、パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーマンションでは、昨年8月に自主防災組織を立ち上げ、震災当時の状況や住民の意識を検証して防災マニュアルの作成や防災訓練講演会、防災備品の選定などの活動をしている。中原消防署では「高層集合住宅は一つの自治会のようなもの。自助・共助の意識をもって今後も防災対策の意識を高めてほしい」と話している。
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4月26日
4月19日