多摩川バーベキュー ごみ、騒音軽減傾向
多摩川河川敷でのバーベキュー利用有料化から1年余り。市によると、利用時間の規制やごみ処理の徹底が奏功し、夜間の騒音やごみの散乱など近隣への被害が軽減しつつある。一方、酒に酔った利用者による迷惑行為などはいまだにあり、市は今後も利用者のマナー改善への対策強化を進めるとしている。
川崎市の多摩川施策推進課によると、2011年度の入場者総数は約11万4000人。今年のゴールデンウィーク(GW)中は、雨天で2日間休場したにもかかわらず約1万4000人が利用した。連休直後の土日にあたる5月12日、13日にも各日約4000人が入場。人気の高さが伺える。
条例改正で迷惑行為防止へ
コンロの火の消し忘れ、花火の燃えカスの散乱、泥酔した利用者らのけんかや夜間の騒音、路上への放尿。河川敷の自由使用が原則だった2010年度までは、様々な迷惑行為が住民を悩ませていた。近隣に住む主婦(65)は「以前は夜間に、酔った若者が大山街道で騒いだりしていた」と話す。
安全・安心の市民生活の実現を目指し、市は昨年、都市公園条例を改正。バーベキュー利用料として1人500円を設定し、利用時間も4〜9月が午前9時から午後6時まで、10〜3月が同4時までと制限した。
利用料をごみ処理費用に充て、警備も強化。以後、多くの住民からは「ごみが減り、マナーは良くなった」との声が上がっている。
一方、最寄り駅の二子新地駅近辺で商店を営む60代男性からは「今でもコンビニのごみ箱に大量のごみを入れていく利用者がいる」との不満も上がる。利用者の中には、有料化後の入場しにくさを指摘する声もある。毎年訪れるという武蔵野市の男性(62)は「有料化後、駐車場と河川敷の間にフェンスができ、車から最短距離で河原に来られなくなった」と話した。
マナー改善に民間の力を
市は今年4月、指定管理者制度を導入。現在は太平洋總業サービス(株)が多摩川バーベキュー広場を管理している。同社は入場整理や警備のほか、ごみ処理も徹底。設置した回収箱へのごみの分別廃棄を利用者に呼び掛けている。
同社の担当者によると、騒音被害などは軽減しつつあるものの「酒に酔った利用者が取っ組み合いのけんかを始め、飛んで行って仲裁した」ほか「(GW中に)雹が降った日、慌てて帰った利用者が駅前にごみ袋を置いて帰った」こともあったという。迷惑行為にいまだ収束は見られないが「毎年来場するリピーターに利用マナーへの認知が広がれば、数年後、状況はさらに改善すると思う」と語る。
市によると、住民から夜間の見回り実施を要望する声も上がっているという。市は高津区、警察、東急電鉄、地域の町会などと協議し、安全対策の強化を検討。同課は「今後、地域の人と一緒になって対策を講じていきたい」と、さらに利用者のマナー向上を求めていくとしている。
|
|
|
|
|
|
4月12日