民主党市議団市政レポートNo.41 高校無償化へ所得制限、その弊害とは… 川崎市議会議員 おしもとよしじ
『チルドレン・ファースト』の理念のもと民主党政権下で開始された高校授業料無償化ですが、昨年の臨時国会において、この制度に所得制限が設けられることとなりました。経済的理由による高校中退者が半減、進学率の増加、中退者の学び直しの増加、家庭が負担する学校教育費の減少等、多くの成果をあげた政策でしたが、今回の変更にあたり、本市でも今議会に提案された条例案によって、多くの弊害が生まれる結果となりました。単に所得制限といっても中身はこれまでと180度異なり、まずは一旦全世帯から授業料を徴収し、その後年収910万円未満の世帯の申請に基づいて授業料を充当するとしています。保護者は煩雑な手続きを強いられるだけでなく、家庭急変などにより収入が減少した場合には、市税によってその家庭の授業料を支援することとなり、これまでなかった新たな本市の負担が発生します。また、今後3学年で約3600件にも上る申請処理に掛かる事務作業や費用が増加するだけでなく、子供同士のプライバシーへの配慮など、教育環境の変化、事務作業増加に伴う教員の教育の質の担保といった学校側の教育現場の負担が増すことも避けられず、制度設計の粗さが浮き彫りになりました。
さらに、日本と韓国を除く全ての主要先進国は所得制限を設けず高校の授業料を無償化しており、平等であるべき教育に経済的な制限を持ち込むことは、世界標準からも大きく外れるものです。加えOECDの調査からも判るように、日本の教育に対する投資は世界的にみて著しく低く、保護者負担に多くを頼っていることが明らかであります。
資源が乏しい日本が成長を続けていくためには「人材」への投資が不可欠であることは自明であり、少子高齢化が急速に進む現代において、厳しい将来を担う子供達への投資は必然です。それでも、率先して未来ある子供達に投資せず、さらに自治体や教育現場、保護者の負担を増大させる道を選んだことは非常に残念でなりません。よって国・本市においても我々は、この議案に反対しました。より長期的な視点を持つことを求められる教育政策が、政党間の争いの犠牲になってはならず、しがらみに囚われることなく、最良の政策を作り挙げていくべきとこれからも訴えて参ります。
市議・押本吉司
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4月19日
4月12日