第27代の中原消防署長に就任した 高嶋敏(さとし)さん 相模原市在住 58歳
消防人生の集大成を
○…6年ぶり、3度目の中原署。「以前はタワーマンションが1棟くらいだった。発展するスピードが凄く早い」と街の変化に驚く。社会人としてのスタートを切ったのが中原署。戦艦武蔵の乗組員だった当時の伊東十一良署長の下、「身震いするくらい厳しかった」と消防士としてのイロハを叩き込まれた。今でも忘れられないのが、82年の高元寺の火災。炎が40メートルほど高く噴き上げる中を自ら突入して指揮した署長の真後ろで、火傷を負いながらも活動。「死ぬ時は署長も一緒だ」。この時感じた信頼感が財産になっている。
○…81年に特別救助隊員に任命され、同年の消防救助技術大会で川崎市初の全国大会出場を果たした。その後、市の職員としては初めて救急救命センターに出向し、最前線で活動してきた。安全な防火着の採用や「市民救命士制度の導入」など現在の消防の仕組みづくりに大きく貢献。「これからの救命士には要救助者の救出や搬送だけではなく、生かすために何をしなければならないのか、医者に近い能力が求められてきている。責任はとても重い」
○…多摩区生まれ。幼少時代は絵画に夢中になった。「今でも絵や物づくりが好き。没頭できる」と話す。署長室に飾られた手作りの消防フィギュアの完成度がその熱中度合を物語っている。中高時代は野球、大学では少林寺拳法を習うなどスポーツにも熱心。「なんでも形から入るタイプかな」と笑うものの、現在はまっているウォーキングは何十年も続けている。
○…夫人と息子2人の4人家族。「息子の就職も決まってホッとしている。次は結婚や孫の顔も見たいけど退職してからかな」と優しい父親の顔を見せる。また、こまめに実家に通い親孝行も欠かさない。定年まで残り2年。「署員一人ひとりと力を合わせて頑張りたい」という思いを胸に、中原区で始まった約40年間の消防人生の集大成を同じ地で飾るつもりだ。
|
|
|
|
|
|
4月19日
4月12日