10月5日にご結婚された高円宮典子さまへの書道のご進講役だった 阿部朱昂(しゅこう)さん 小杉陣屋町在住 72歳
「書道」で感謝の恩返しを
○…高円宮典子さまがご結婚されたことを受け、「災害や悲しい出来事が多かった中で、国民にとって大変喜ばしいニュース。心からお慶び申し上げます」と微笑む。書道をご進講していたときの典子さまの印象について「家庭的で気配りが行き届き、周囲をお気遣いになられる心優しいお方。品格ある字にもお人柄が表れていた」と語る。今も母君の久子殿下に書道をご進講し「縁あってお受けさせていただき、支えて下さる皆さまには感謝ですね」。
○…書道を始めたのは6歳の頃。教育熱心だった両親の方針で、4兄妹みな教室に通い「筆を持つ事が日常」だった。琴やピアノも習い「学校から帰宅すると先生が待ち構えていらした」と苦笑い。それでも辛いと思ったことはなく、殊さら書道においては「全身全霊を打ち込める、平面上の瞬間芸術の魅力」にハマっていった。周囲からも認められ、気づけば教える側に。「この素晴らしい日本の伝統文化を伝えたい」と、40代にして海外で展覧会も開催。昨年には、今日まで続く活動が高く評価され文化庁長官表彰を受賞した。「大変光栄。これも周囲の力添えがあってこそ。感謝の気持ちを、書道を伝える使命感をもって恩返ししたい」
○…生まれは日本橋。幼少期は三越や日銀の周りが遊び場だった。それだけに、結婚して田園が広がる中原区に引越してきた時はなかなか馴染めなかったという。それでも子育てを通じ主婦仲間が増え、地元への愛着も深まった。「書道を続けるために健康で」と心にとめ、茶道、華道、能、ゴルフにいそしみ、心身を鍛え、感性を磨き続ける。
○…「書道は礼儀や作法だけでなく、仮名の独特な美しさや情緒の豊かさなども養える」と、幼年期から筆を持つ大切さを呼びかける。自身の夢は納得できる理想的な作品を書き上げること。「未だに満足いく書が書けていないのが悔しい」と語る姿に、極みを目指し続ける人生観が滲み出ていた。
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3月29日
3月22日