年2回、区内下小田中の安楽寺で地獄絵の絵解き口上を行っている大道芸人の 麻布 十兵衛 さん(本名 栢木興太郎) 東京都在住 70歳
「勧善懲悪」の文化を後世に
○…死後の世界を描いた地獄絵を解説する絵解き口上を下小田中の安楽寺で行い7年目を迎えた。「安楽寺は昔、寺小屋としての役割があり多くの子どもたちがこの絵を見て勧善懲悪などを学んでいた。絵を展示するだけではなく、どのような意味や歴史があるのか多くの人に知ってもらいたい」と笑顔を見せる。笑いを交えた解説は年配者から子どもまで幅広い層に人気。「『嘘をつくと閻魔大王に舌を抜かれる』など日本人の心の中には地獄がある。大切なことは悪行をやめ、善行を積むこと」
○…「女房に『退職してなにするの?』といわれたこと」がきっかけで定年後に日本の伝統芸能である大道芸を始めた。それまでは海外出張も多く、「趣味=仕事」というほどの仕事人間だったが、以前に見た大道芸のことを思い出して研究会に入門したという。「一芸10年」といわれる厳しい世界であるものの持ち前のコミュニケーション力や行動力によって才能が花開いた。現在はガマの油売りやバナナの叩き売りなど10以上の演目をマスター。大道芸研究会の6代目会長も務め海外などでも芸を披露している。
○…「麻布十兵衛」という芸名は麻布十番で生まれたことが由来。現在もその地に住み郷土愛を大切にしている。しかし、「母に聞くところ私が生まれた昭和21年頃は東京大空襲で、母が実家の安楽寺に避難していた際に私が誕生したらしいです」。第二の故郷川崎への思いも強く、東海道川崎宿まつりや川崎文化祭などへの参加も積極的だ。
○…夫人とネコと暮らす。息抜きには健康づくりのために続けているエアロビクスを楽しむ。また落語や漫才はビデオに撮りためてみるほど好きだというが、それが芸の教材になっている。「お客さんを惹きつける話し方や間の取り方がとても勉強になる」という。今後の夢は「喜寿を節目にリサイタルをやります」と舌は滑らかだ。
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3月22日
3月15日