川崎市は、犯罪や非行で保護観察対象となった少年少女に就労機会を提供する協定を川崎市保護司会協議会(石渡勝朗会長)とこのほど締結した。内容は川崎市が保護観察対象者を雇うもので、市の事例を示し、民間企業への就労機会の拡大を目指すという。神奈川県内の行政機関では初の試み。
少年少女の再犯、半数以上が無職
この協定締結の背景には保護観察対象者の無職・有職が再犯に影響していることがある。法務省の2015年版犯罪白書によると、2014年の家庭裁判所から保護観察処分を受けた少年少女の再犯者のうち55・9%が無職。成人の再犯者をみても72・2%、約4人に3人が無職だという。犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える市内7区の保護司会で構成された同協議会では、保護観察中の少年少女の再犯防止のため対象者の職探しを課題としてきたが、受け入れ企業の少なさが問題となっていた。
今回の協定では、同協議会が推薦する保護観察中の少年少女を市が臨時的な任用職員として直接雇用する。任用期間は最長6カ月で、1回更新可能。まずは本庁での任用を予定しており、文書作成や資料整理、PCデータ入力等の事務補助的職務を想定している。
市では4月からのスタートを目指し、まずは1人から任用するという。任用に向けては、各保護司らが担当する少年少女を推薦。全県を管轄する横浜保護観察所が対象者の適正を見極め、更生保護就労支援事業所を通して市へ紹介される。市担当者は「今後、雇用人数を拡大するかどうかも含め検証していく。民間での雇用を促せるような事例を示していきたい」と話している。
協力企業求める
現在、大阪市や千葉市などの政令市を含む全国37自治体が保護観察中の少年少女に就労機会を提供する事業を始めている。川崎市でも同協議会の声掛けにより、昨年度の早い段階から協議を進め、協定締結に至ったという。
同協議会の石渡会長は「民間の協力雇用主は少ないのが現状。”公務員”として市で働く実例を基に、今後協力企業が増えると嬉しい」と話していた。
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