中原区上小田中に住む佐野正さんは、国内の産業デザインなどを手掛けるデザイナーが所属する(公社)日本インダストリアルデザイナー協会に所属する。5年前からは、同メンバーらの有志らと「Design&trade震災復興委員会」を立ち上げ、東日本大震災の被災者に対しデザインの力で支援活動を行っている。
佐野さんは震災後1か月後に宮城県仙台市、東松島市、陸前高田市などに訪問し仮設住宅の状況などを調査し、「他にはできない自分たちならではの支援」を実施してきたという。
ものづくりで「仕事」を創出
住民の方から「大工道具があれば色々つくれるんだけどな」という意見をもとに、佐野さんは大工道具やミシンを用意し、ワークショップを開催。「一人ひとりの好みの高さに合わせた、踏み台・座椅子をつくりました。お風呂に入るのに苦労されていた方や足腰を痛めていた方がこたつに座る際に大変喜ばれました」と話す。その後は、フォトフレームや革小物、木片を使った壁掛け時計など作るものも広がり、いつしかものづくりが「仕事」になっていったという。佐野さんは「アナログな道具でつくれるもの」、「つくって楽しいもの」をできるだけ考え、アドバイスを送った。また、、武蔵野美術大学の学生らとも協力し、東松島のお土産品として、現地の大曲浜地区に古くから伝わる鼻毛が特徴的な獅子舞をモデルにした「しし福宝箱」の製造販売も手掛けたという。
デザインの力が「笑顔」を育む
2012年の11月には無機質な仮設住宅地内の地面に明るく機能性のあるペイントを施したという。「車が減速するように波を打つように葉っぱをペイントしたり、進入禁止マークにはアヒルの親子を描きました。仮設住宅に住む、子どもから高齢者まで多くの方が参加し、笑顔で楽しみながらペイントしていたのが印象的でした」と佐野さん。「自分の家に住めなくなり、多くの方が『知っている人がいない』という不安からスタートした方々が笑顔でコミュニティや街を形成する姿に関わることができて良かったです」と話す。
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