介護サービス利用者の要介護度を改善した事業所に、成功報酬として報奨金を付与する新しい制度を川崎市が7月から開始する。これまでの制度の矛盾を解消し、事業者の意欲を高めて介護保険給付費を抑制するのが狙いだ。
現在の介護保険制度は要介護度に応じて、事業者に支払われる介護報酬が設定されている。介護サービス利用者の要介護度が高いほど報酬は高くなり、要介護度が改善された場合、評価に反して報酬は減る。
これに対し、市は利用者の要介護度が改善または維持が図られた場合、事業者に対して独自の報酬であるインセンティブを与える新しい仕組みを検討。「かわさき健幸福寿プロジェクト」として7月1日から来年6月30日までの1年間を評価対象にする。事業者の意欲を高めることで利用者の要介護度が改善され、介護保険給付費を抑制につなげたい考えだ。
目標に基づき評価
市は実施に際して参加事業所数や改善した人数の数値目標を定め、それに基づき評価する。インセンティブについては改善が認められた場合に、翌年9月に報奨金として1事業所につき5万円程度を拠出するほか、評価に応じ、市長表彰や成果を上げたことを示す認証シールの授与、市公式ウェブサイトへの掲載等を行う。
川崎市内で介護事業所を運営する男性は「経営者としては、もちろん収入が気になるが、利用者のことも無視できない。要介護度の改善は、利用者にとっては、これまで受けられた介護サービスが受けられなくなることになる。趣旨は分かるが介護サービスの利用者の理解を得るのは難しいのでは」と話す。
一方で、「今までおかしいとされてきたことを改善しようというのはいいこと。川崎から新しいモデルを実現していくのに、協力していきたい」と話す事業者スタッフもいた。
市の担当者は「報奨金のほか、認証シールやサイト掲載により、事業所の信頼を高めるメリットにつながればいい」と話している。
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