平成30年全国栄養改善大会で、栄養改善事業功労者の厚生労働大臣表彰を受賞した 紅谷 加津江さん 中原区在勤 64歳
食で叶える人の幸せ
○…食に携わり40年以上、管理栄養士として病院や高齢者施設などで栄養相談や食環境の改善、後進の育成に貢献してきた。授賞式で全国の表彰者を代表し述べた謝辞では若き頃の失敗に触れた。「当時私と同じ20代で、筋ジストロフィーにより寝たきりの青年に異物が混入した食事を提供してしまった。動きたくても動けない人がいるんだから」。自らを奮い立たせた経験が今に活きる。
○…小学生の頃、祖母の見舞いで訪れた総合病院の中で迷子になり、行き着いた先が厨房だった。「白衣姿の素敵な栄養士が病室まで優しく連れていってくれてね」。その憧れから栄養士の道に。日々患者や利用者らに栄養を考えた食や流動食などを提供する一方、東日本大震災の時は被災地に出向き仮設住宅で芋煮200食をふるまった。「家族を亡くし職も無くした方を少しでも元気づけたくて。地元の漁師の人が魚をさばいてくれ、一緒に料理したときに見せてくれた笑顔が本当に嬉しかった」。食でつながった忘れられない思い出だ。
○…家族は夫と2人の子、3人の孫にも囲まれる。「男の子はやんちゃでね。チャンバラごっこや海水浴にも付き合うの」。仲間とは好きな歌手のライブに出掛けるなどプライベートでも行動派だ。モットーは上杉治憲の名言「成せばなる、成さねばならぬ何事も―」。言葉ではなく行動で示す人生を貫き通す。
○…食に関する教育研究の実績などが評価され、来年4月から北関東の大学で教員に就任することが決まった。「若い人に食の大切さを伝えていきたい。人生の集大成にしたい」。共働きの若い親世代には簡単なレシピや手料理の魅力などの大切さも訴える。「食がありふれた現代だからこそ知ってほしいことがある」。全ては人の幸せのために。
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3月29日
3月22日