川崎市内の風しん患者数が8月に急増し、今年の累計が11人(8月26日時点)となった。4年ぶりに2桁を超え、首都圏を中心に流行している。30代から50代の男性が多く、親世代への予防を促すなど、市内では独自の対策を取る医療機関もある。
川崎市内の感染症情報をまとめ、発生状況などを発信している市健康安全研究所(川崎区)の発表では、市内の昨年の患者数は0人だったが、今年8月20日から26日の1週間の患者数が4人となり、年間で11人を数える。その数は県内(24人)の約半数に及ぶ。同研究所の岡部信彦所長は「人口が多く、人の移動も多い川崎や横浜には感染症が集中しやすい」と分析する。現在、市内で検査中のウイルスもあり同研究所は今後さらに増える可能性があるとしている。
風しんは、妊娠初期に抗体のない妊婦が感染すると出生児に難聴や心疾患などの障害が現れる先天性風しん症候群が起こる恐れがあり、2013年に起きた流行に関連した同症候群は全国で45人確認されている。
13年の流行を契機に、市は費用の一部を助成し予防接種を呼びかけた。以降、市は継続して助成事業を実施している。岡部所長は「対策を始めてから、ワクチンを接種した人は約3万人を数える。続けていなければ、もっと増えていたかもしれない」と話す。事業対象者は【1】妊娠を希望する女性【2】妊娠を希望するパートナー【3】妊婦のパートナー――で、各区の協力医療機関で抗体検査を無料で受けられる。検査の結果、十分な抗体がなかった場合に予防ワクチンを自己負担(一部助成あり)で接種することができる。
感染症対策に取り組むかたおか小児科クリニック(高津区)の片岡正院長は「学生時代に予防接種を受けていない可能性の高い30代から50代の男性など、親世代の方たちには抗体検査の確認を促している」と積極的な予防に努めている。
国は2020年度までに風しんの排除を目標に掲げており、岡部所長は「国外からウイルスが入り、感染を抑えられなければ日本として恥ずかしいこと。国内から排除することをめざす」と話す。
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