川崎市は、昨年の台風19号で浸水被害を受けた市民ミュージアムの収蔵品約22万9千点のうち、7割にあたる未着手の約15万3800点の搬出を今年度内に目指す。搬出した収蔵品は応急処置が施され、冷凍コンテナと仮設ユニットハウスに一時保管されており、本格的な修復は4月以降になる見込み。
収蔵庫からの搬出が完了している収蔵品は現在、約7万5200点。水に弱い映画のフィルムや、国・県の文化財に指定されているもの、同館に原本が保管されているものを優先的に搬出した。収蔵品は水や薬品で洗浄するなどして一時保管され、修復の必要性を判断して本格的な修復作業に入る。
市は、同館が被災した昨年10月から収蔵品の搬出を開始。NPO法人文化財保存支援機構などの専門家から支援を受け、作品の搬出と同時に応急処置を行っている。収蔵品の搬出が完了しているのは、借用作品や美術文芸、ビデオが収蔵されていた第5収蔵庫のみ。先月23日からは、コンテナの水を抜く作業を終えた第2収蔵庫(考古資料や土器などを収蔵)の搬出を開始した。
増員も視野
今後気温が上がるにつれて収蔵品にカビが増加しやすくなるほか、保管場所の温度・湿度管理が難しくなることから、早急な搬出が求められる。現在は約20人体制で1日5時間ほど作業にあたっているが、市の担当者は「今の体制のままでは春先までに作業を終えるのは厳しい。スタッフの増員も視野に入れつつ、作業の効率化を図りたい」と話す。
搬出開始当初は、収蔵庫内の床が水を吸い変形したり、電気系統の設備が故障してエレベーターが使用できなかったりと作業が難航。最終的に、収蔵庫内の床を張り替えるなどして足場を整備してから搬出に着手したため、実質的な作業に遅れが生じたという。
収蔵品全ての修復総額や、修復が困難な収蔵品の数は集計に至っていない。修復不可能となった収蔵品についても基本は市の財産のため、措置を検討していく。
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