認知症高齢者数の増加を受け、川崎市は認知症の一歩手前となる「軽度認知障害」(MCI)の疑いを簡易検査する取り組みを7月から試験的に実施するとし、2020年度予算案に計上。今月17日に開会した市議会に提出した。タブレット端末を使用した検査で市民に意識喚起を促し、予防の取り組みを進めることが狙い。
市が進めているのはタブレット端末を使用した軽度認知障害(MCI)の疑いを早期に発見する検査。市内高齢者630人ほどを対象に、各区で7月からイベント形式で開催していく予定。725万円を計上する。
市担当者は「認知機能に自信がないと、疾患の不安などから検査自体を避ける傾向にある。健康測定会のような、気軽に参加できるものを想定している」という。
また、検査結果に応じて高齢者の通いの場、地域包括支援センターなどにつなぐ。再度検査を行い、運動や社会参加などによる認知症予防への効果を検証していく。
市が検査するMCIとは、物忘れの自覚はあるが日常生活の影響はほぼなく、認知症と健康な状態の間を指す。この段階で運動など、適切に対応すれば認知症の発症を抑えられることもあり、早期対応が重要だという。
市担当者は「検査は診断するものではない」とし、「検査の結果が生活習慣の見直しや持病の治療など、認知症に備える意識付けにしてもらうことが狙い。地域の受け皿についても検証しながら同時に整備を検討していきたい」と話す。
高齢化に伴う認知症の増加を受けて国は昨年、「認知症施策推進大綱」を策定。認知症の発症や進行を遅らせる「予防」の取り組みを推進している。市はこれを受けて今回の事業を実施する。
市の認知症高齢者数は15年に4万2000人を超え、30年には2倍以上の増加が見込まれる。
市内で講演などを行い認知症、在宅医療を専門とする医師は「認知症に対する警告後、どうしていくかが重要。検査結果が一つの指標となり、医療機関だけではなく地域全体で認知症を見守るまちづくりの契機になりえるのでは」と話す。
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