川崎市が登録している戸建ての空き家は890戸で、統計調査で見込まれる約5200戸の2割以下にとどまっている。放置された空き家は放火や害虫発生などの危険性がある中、市の担当者は「限られた時間で全ての建物を現地確認するのは難しい」と頭を抱える。
市は「川崎市空家等対策計画」を2017年3月に策定し、17年度から21年度までの5カ年で実施。各部局で空き家情報が共有できる「空家データベース」を作り、登録を進めてきた。今年3月時点の登録数890戸のうち、建物の大きな破損や樹木が茂っているケースは105戸、軽微な破損は411戸だった。
一方、市の統計調査によると、賃貸や別荘、共同住宅などを除いた戸建て空き家の見込み数は18年度で5200戸。データ上では、登録数の約6倍の空き家が潜在していることになる。
現地確認を行うのは、現時点では各区役所に連絡が入ったり、消防局員が巡回している際に発見した建物のみ。「5千戸にもなると確認に膨大な手間がかかる。コストに見合った方法で一つずつ確認していくしかない」と市担当者。空き家は個人の財産のため調査や判定が困難なほか、持ち家への思い入れから手放せない所有者も多いという。担当者は「空き家の管理と利活用の重要性に対し、理解を深めてもらうことが必要」と話す。
管理不全の空き家は樹木の繁茂や害虫の発生、放火の危険性があり、市民からは懸念の声が上がっている。市消防局や各区の相談窓口には「雑草を剪定してほしい」「放火されないか心配」との問い合わせも。3月の市議会では、空き家に関する市の業務手順を問題視する指摘があった。
専門家と協定へ
登録済みの空き家所有者に対し、市は活用希望者とのマッチング事業やコンサルタントの派遣、相談マニュアルの作成を進めていく。今年度中に、空き家の利活用を支援する専門家12団体との協定締結を予定。対策計画の改定に向けた現地確認や所有者の調査も行うとしている。
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