市政レポートVol.11 GIGAスクール構想への期待と潜む虐待 川崎市議会議員 吉沢 直美
◆GIGAスクール構想実現へ
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため学校が一斉休校となり、多くの保護者が子ども達の学習の遅れや運動不足などに不安を抱え、また、長期に及ぶことで心身への影響が深刻化するのを恐れています。そして、家庭学習しかない現状に、オンライン授業の配信を望む声が高まっています。人との接触を最小限にしなくてはならない今、仕事はテレワークでWeb会議、ネット販売、オンライン飲み会、帰省までオンライン……オンラインに頼らざるを得ない状況です。
ニューヨーク市では3月16日に公立学校が閉鎖し、3月24日からオンライン学習が導入されたとのことです。世界でも学校閉鎖の長期化を想定し、学習進捗を止めないためにオンライン学習へのシフトが模索され始めています。また、同時多発テロが起こった2001年にニューヨーク市の子どもの学力が大きく低下したことはよく知られています。社会的な不安が高まり、長期にわたる学校閉鎖によって学力低下が生じたのならば、解決のために何ができるかを考えなければなりません。コロナの影響が長引く可能性も指摘される中、教育・学習の形を変えることが必要です。
日本では昨年「GIGAスクール構想」が閣議決定されました。Society5・0時代を生きる子ども達に、全国の学校で1人1台の端末と高速ネットワークを整備し、ICTを活用した次世代の学校を実現するものです。本市もその事業を受け予算を計上しましたが、新型コロナにより3月から学校が休校となり、学校休業時における「学びの保障」に対し、その必要性に拍車がかかりました。政府は、このような緊急事態にも対応可能な遠隔教育の実現を急務とし、家庭でも繋がる通信環境、ハード・ソフト・人材を一体とした整備を加速するとし、緊急時においてもICTの活用により全ての子ども達の学びを保障できる環境を早急に実現するため、国の令和2年度補正予算案には2292億円を計上することとしました。
この環境がもっと早く整備されていたならば、今、家庭でのオンライン学習も可能だったのではないかと思います。今回の教訓を踏まえ、GIGAスクール構想の早期実現に向けて、本市での取組に尽力して参ります。
◆休校中に潜む児童虐待
外出自粛要請で家族が自宅で仕事や学習をする中、その空気が煮詰まりストレスが溜まり、DVや児童虐待が起こりやすくなっています。児童虐待は面前DVの割合が非常に高く、国連によると外出禁止のフランスでは1週間でDV件数が3割以上増えたとのことです。コロナ禍で経済が落ち込むことで、子どもがストレスのはけ口になることも危惧しなくてはなりません。
子どもは休校、親は外出禁止。虐待されている子どもが唯一家から離れられ解放される安全地帯である学校が奪われてしまっています。世間との接触が断ち切られ逃げ場のない家という密室空間で虐待が起き、声を挙げれず苦しんでいるのでは…と危惧します。普段は、児童生徒の様子を見ている学校が気付き通告に至りますが、それが今は無い訳です。どうにかして彼らを発見し救出しなければなりません。外部が接触することが難しい今、可能な限り周囲でアンテナを張り、虐待かも…と思ったら、児童相談所虐待対応ダイヤル【電話】189(いちはやく)に電話をお願いします。
また、子ども達の些細なケンカで保護者もイライラし、言葉もいつも以上にキツく、ストレスが溜まり虐待へと発展してしまうこともあります。今回の休校で虐待しそうになる、精神状態ギリギリの人が増えていると思います。ひとりで抱え込まず、先ずご相談ください。本市の子育てに関する悩みや子ども虐待に関する相談窓口は、こども家庭センター(【電話】︎044・542・1234)になります。
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4月26日
4月19日