市政報告 30人学級の推進及び小学校教科担任制の導入 川崎市議会議員 松原しげふみ
複雑で変化が激しく多様性が高まる現代社会の中で、次代の我が国を担う子供達が今後どのような教育を受け、個の能力、資質をいかに育んでいくか等、教育の果たす役割は今後さらに増していく事になります。そのために「学力の三要素」を養う新学習指導要領の着実な実施を図る事が必要であります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い学校休業となった事を目の当たりにすると、子供達の学びを保障し、一人に一台情報端末が行き渡る(GIGAスクール)ICT環境の整備や、指導体制を確立する事が必要であると痛感いたしました。即ち現行の公教育を検証し、時代に適応したきめ細かな教育体制の構築が不可欠であります。
国が定めた義務教育標準法では、1959年度には一学級の人数を上限50人と定め、1964年度の改正で同45人、1980年度は同40人へと引き下げられました。その後2011年度にも同法が改正され、小学校1年生の一学級の人数上限は35人へと引き下げられ、翌2012年度には小学校2年生も35人と定められました。義務教育段階に於いて、個に応じた指導や心の安定を図り学習の理解度や学習意欲の向上を全ての子供達に保障するには、現行の35人学級を上限30人とし、全ての児童・生徒が30人学級で学べる体制にする事が求められます。そのためにはまず義務教育標準法を改正し、基礎定数の改善と教員の加配、教室の確保が必須となります。文部科学省の試算では、来年度から公立学校の全学年を「30人学級」にしたとすると教員は8万人〜9万人が必要であり、10年をかけて段階的に移行すれば少子化で生じる余剰人員等で、ほぼ対応できるとしております。また文部科学省では少人数学級の実現に向けた体制を整備するために来年度予算の概算要求に金額を示さない「事項要求」としており、少人数学級の実現に向け期待が高まるところであります。
ギャップ解消に期待
2020年度からの新学習指導要領の全面実施に伴い、小学校5年生6年生では新たに教科として外国語(英語)教育が始まりました。小学校は中学校と異なり、担任の先生が全科目を指導する事が基本でありますので、担任の先生は週2コマ(年間70時間が標準授業時間)の授業を行います。世界的には日本の教員の勤務時間が長い事が明らかになり、学校における働き方改革が国主導で推進されている中、教員の負担が増すことになるのではと懸念をしていたところ、本年8月、中央教育審議会に於いて、小学校高学年から教科担任制を導入する方向で調整に入る方針が固まりました。教科担任の対象となる教科の候補として、外国語、理科、算数の三教科が挙がっており、2022年度から始まる予定となっています。実現すれば教員の負担軽減や専門性を生かし児童一人一人の学力向上と共に、義務教育9年間を見通した中学校への円滑な接続により学習面、環境面による小中ギャップの解消が期待できます。児童生徒の中には特別な支援を必要とする子供達がいますので、30人学級や教科担任が実施されるにあたっては、支援を必要とする子供達のニーズをしっかりと把握し、共生社会を共に形成する仲間として全ての学校に於いて障害の有無に関係なく可能な限りの適切な指導と必要な支援を行う事は言うまでもありません。
少人数学級、教科担任制の導入により全ての子供達が元気で明るく、そして楽しく学び、教員の負担軽減となるような制度となる事を強く願っております。
松原しげふみ事務所
中原区新城5-2-3
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3月15日