川崎市は1月29日、JR南武線の立体交差化に向けた今年度中の事業推進手続きを見送ることを公表した。市税減収による収支不足の拡大などを受けた措置。来年度末までに財源や人材確保に向け検討を進め、実施計画素案で結果を示す。「開かずの踏切」については早急にできる対策を検討するとしている。
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川崎市は「JR南武線連続立体交差事業」を進めるにあたり、今年度中の都市計画決定、来年度から整備に向けた取り組みを推進するスケジュールを示していた。
市は、新型コロナの影響による市税減収が220億円と見込まれることなどを受け、「今後の経済動向の見通しが立たない」として、大規模投資事業への慎重な検討が必要と判断。計画を見直していく。
同事業は矢向駅から武蔵小杉駅間(約4・5Km)で南武線を高架化し、9カ所の踏切を取り除く計画。同区間には、開かずの踏切(1時間あたりの最大遮断時間が40分以上の踏切)が5箇所あり、渋滞発生や歩行者の安全性低下、緊急車両の通行の妨げなどが課題となっている。
総事業費は1479億円、期間約20年を想定していたが、市は更なる事業費の縮減や工期短縮などについて検討を行い、行財政運営の見通しを踏まえた計画とする。開かずの踏切対策が早期に必要とされる平間駅前などについては、早急に実施できる暫定的な対策を検討していくという。
同事業に向けては2007年に立体交差化に関する請願(署名約5万5000人)が市議会で採択され、14年から事業化に向けた調査などが進められている。
等々力緑地再編にも影響
市税減収が影響し、計画の遅れが懸念される大規模事業として等々力緑地再編整備事業もあがる。
令和元年東日本台風の影響を受け昨年2月、既存計画に防災・減災の視点などを加えて「同事業の推進に向けた今後の取組方針」をとりまとめたばかり。そこに今回、新型コロナによってもたらされた社会変容や新たな市民ニーズも取り入れた計画に改定するため、市は「時間を確保する必要がある」という。
市担当者によると、今年6月を目途に具体案を示す「等々力緑地再編整備実施計画(改定骨子)」として取りまとめを行う予定。
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