あす10日から始まる第103回全国高校野球選手権神奈川大会に、新城高校は、麻生総合・市立川崎・幸との連合チームで出場する。4校による連合は5年ぶり。新城高の野球部員はたった一人、3年生の宮崎翔さん(18)だ。それでも「3年間やってきたことを信じ、自分の力を出し切るだけ」と気負いはない。
宮崎さんが1年生で入部したとき、部員は同期3人含め16人だった。高2の夏に3年生が引退し5人となったため、昨秋と今春の地区予選は生田高(多摩区)との連合で出場。しかし、この春心待ちにしていた新入部員はなく、宮崎さん以外の4人も退部した。「正直、寂しい気持ちはあったけれど、小1から続けてきた野球を途中で諦めたくはなかった。最後までやりきろうと思って」と自らを奮い立たせた。
4校のメンバー11人が初めて顔合わせしたのは今年5月。「初めは不安だったけど、話してみたら野球への思いは一緒だった」。合同練習は土日、新城高の広いホームグラウンドでともに汗を流す。チームプレーを重ねるうちに、考え方も共有できてきたという。宮崎さんがチームで期待されるのは力強いバッティング。練習試合でも4番を打ち、「監督や先輩方から教えていただいたミート打撃ができている」と胸を張る。
OBの誇り胸に
同高野球部監督でOBでもある大平康幸教諭(43)は、複雑な心境をのぞかせる。かつては県準優勝、関東大会にも2度出場したことのある創部59年の伝統校。「このまま廃部にだけはしたくない」と、地元中学校へスカウトもしてきた。今は信念を貫く後輩のため、毎朝2人だけの練習に時間を費やす。「授業中も真面目で成績優秀。宮崎の思いに応えたい」とは、教師であり先輩でもある誇り。宮崎さんが引退すると部員はゼロになるが、今伝えているのは「高校野球は(全国優勝の)1校を除き、全ての学校が敗退する。いかに良い形で終えるかだ」。様々な思いを胸に、最後の夏に臨む。
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