知性溢れるアイデアマン
○…がん研究に対する長年にわたる功績が評価された。受賞の知らせを聞いた瞬間「なんでかな」と疑問を抱いたのは、研究者の性分か。医学博士で東京大学名誉教授を務めており、日本癌学会会長などの要職も歴任。WHO国際がん研究機関など、これまでに3カ国・5つの拠点で研究実績を持つ。現在はコロナに関する新書を上梓するなど、執筆活動に取り組む。5年ほど前から務める、かわさき市民アカデミーの講師もライフワークの一つだ。
○…東京都出身。がん研究の道に入ったのは25歳のころ。試験管でがん細胞を育てる実験に、研究班でただ一人成功したのを機に、世界への扉が開いた。米国や仏国に家族も連れて移り、働きながら子育てにも励んだのはいい思い出だ。フランスで育った娘たちについて「味覚や生活態度など、すっかりフランス人のよう」と目を細める。
○…帰国後定年で東大を退いた後、岐阜大学で学長を務めたことは晴天の霹靂だった。就任後、大学の経営・運営面で数々の改革を実行。今では常識となった入試の過去問活用や教員の定員制廃止など全国初の試みを進めた。最終的に改革が文科省に認められ日本学術振興会の副所長に採用された。「当時は”思いつき学長”なんて言われた。自分ではアイデアが豊富と言い換えたよ」
○…知性に裏打ちされたアイデアは時にユーモラスだ。巳年の年賀状に、自分の胃にいたアニサキス(寄生虫の一種)の写真を使用したこともある。登山やスキーを長年楽しんできたが、腰を痛めて近所のプールに切り替えた。コロナ下で妻と二ヶ領用水沿いを歩く日も増え、今後は執筆活動に力を入れたいと考えている。「健康を大切に、2年に1冊は出していきたい」
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