川崎市内の労働災害(労災)が年々増えている。昨年、負傷などで4日以上休業した死傷者は1061人で、3年連続の増加。今年1月から6月までの累計でも、前年同期比54人増の429人と増加の一途をたどる。
川崎北労働基準監督署によると、労災が増えている要因の一つに、働く高齢者の増加が挙げられるという。昨年の死傷者数を年齢別でみると、50歳以上が513人(48・3%)で全体の約半数を占める。事故の種別では、「転倒」が225件(21・2%)、「動作の反動・無理な動作(腰痛)」が218件(20・5%)で4割超。同署安全衛生課の担当者は「身体能力が衰え、転倒して骨折するなど、日常生活でも起こりうる事故が目立つ。特に高齢女性に多い」と話す。
業種別では、保健衛生業(医療機関など)が199人と最も多く、商業が185人、運輸交通業が155人、建設業が130人と続く。保健衛生業を中心にコロナ感染者の発生も一因というが、「コロナ禍で人員を減らしたことで、残る従業員に負担がかかり事故につながった状況が全業種で散見された」という。
市内北部と南部にある労働基準監督署では、製造業や建築業などの業界団体に労災事例の共有や活動の表彰制度を設けるなど、50年以上前から市と連携し取り組んできた。一方、組織化されていない飲食業などの個店に対する周知が課題という。今後、ワクチン接種を終えた高齢者が働き始めることも想定される中、同署は「労災が減る要素はない。労使双方の危険予測と、高齢者の健康に対する意識向上も重要」としている。
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