川崎市食品衛生協会の会長に、6月20日付けで就任した 小柴 英一さん 幸区在住 82歳
食で人との縁紡ぎ
○…食中毒の予防や衛生的な食環境を市民に提供するため、60年近くの経験をいかす。世界的な衛生管理基準・HACCPの義務化、会員講習のオンライン化など業界を取り巻く環境は大きく変化。加盟店は市内に約3千あるが減少傾向が続く。「高齢化で跡継ぎがいない問題もあると思う。まずは行政とともに市民の食の安全安心を守る責務を全うしたい」
○…沼津の実家近くで叔父が経営していたとんかつ店を、学生時代に手伝ったことから起業を決意。姉夫婦が住んでいた横浜の隣、川崎の地を選んだのは24歳の頃。「スパゲッティ、オムライス、当時流行った料理は何でも提供したよ」。深夜まで働く労働者のため、午前1時まで営業した時期も。叔父を思い出し、今はとんかつを中心としたメニューを揃える。娘、息子との家族経営に「商売を継いでくれるのはうれしいね」。
○…川崎のまちの変遷を間近で見てきた。「当時はまさに京浜工業地帯。工場の煙突から出る煤煙で店先の植木はベトベト。乾いた洗濯物を取り込む時も、必ずはたいて汚れを落として。今は随分と住みやすくなって、風景も一変したよね」と回想。常に市民目線で取り組み、受動喫煙防止対策もその一つ。「個人店で場所を確保するのは難しいけど、お客さんのため、快く足を運んでもらうためだから」
○…協会でウクライナへの支援を提案したのは、幼少期の体験が理由の一つ。「軍需工場があった沼津も大空襲を受けてね。5歳だった私は、防空壕がないから田んぼで布団をかぶってうずくまって。夜が明けると家は跡形もなくて。親ともはぐれて。本当に怖かった」。いまテレビから流れる映像が記憶と重なる。食を守り、社会を守るため全力で臨む。
|
|
|
|
|
|
3月22日
3月15日