昔ながらの草履を手作りし無償で配っている男性がいる。下小田中在住の朝比奈健藏さん(84)。先月末には、敬老の日に向けて老人会へ数十足を贈った。「喜んでくれるとうれしいから」と編み続けている。
5年前に亡くなった姉が、手先が器用で草履作りが得意だった。姉を偲ぶように「あの草履がほしい」と周りから声を聞くうち、自分で作ってみようとやり始めた。
だが生まれてから草履を手作りした経験は無く、姉から貰った草履の縫い目をほどいて、一から編み方を覚えていった。最初は1足を編み上げるのに数週間かかっていたが、今では2時間ほどに上達。「でも姉が作るものには程遠い出来。どうしても無骨な形になってしまう」と笑う。
朝比奈さんの作業場は自宅の玄関脇。手編みをしていると、家の前を通る人が興味深げに声を掛けてくる。「今時珍しいのかな。欲しい人にはあげてしまう」。作った草履のほとんどを渡してしまったとか。「後から良かったと笑顔でいわれるとやりがいがあるよ」。草履作りが街に笑顔を広げている。
中原区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|