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麻生区版 公開:2011年4月22日 エリアトップへ

父の足跡 記録映画に 郷土の画家 中村正義の長女が辿る“異才の生涯”

公開:2011年4月22日

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「撮影が進むたび、新しい発見がある」と倫子さん
「撮影が進むたび、新しい発見がある」と倫子さん

 麻生区細山で病と闘いながら創作活動を続けた日本画家、中村正義の生涯を辿るドキュメンタリー映画の撮影が始まっている。地元ゆかりの画家の足跡を映画に遺そうと奔走する同プロジェクトを取材した。

 「ずっとお父さんの映画を撮りたいと思っていたんだ。どうだろう、やってみない?」―。

 今村昌平監督らと現在の日本映画学校(麻生区万福寺)を創立した映画監督武重邦夫氏が正義の長女・倫子さんを訪れたのは、倫子さんが父の没年を超えた昨年のことだった。

 武重氏は、今村氏と正義が生前、2人で映画を撮りたいと話していたのをよく耳にしたという。「画壇と戦う中村氏の言葉には熱い煮えたぎったものが感じられた」。当時まだ20代だった武重氏は、麻生区が誇る2つの才能が交差する場面に度々立ち会った。自身が70歳を超えた今、生きているうちに正義の静かで苛烈な生涯を記録に残したいと思ったという。

 武重氏の情熱は倫子さんの気持ちを動かした。「父の記録を残すということを初めて真剣に考えた。父、そしてひとりの人間として中村正義を考えてみたい。作品だけでなく、足跡を辿りその人間像に触れたいと思った」。ひとりの日本画家を巡る一大プロジェクトが始動した瞬間だった。

 作品は、倫子さんが父のゆかりの地を訪ね、知人などにインタビューするドキュメンタリー映画。『父をめぐる旅〜異才の画家・中村正義の生涯』と題し、川崎市だけでなく、正義の故郷豊橋市などでロケを重ね、来年1月の完成を目指す。

 制作費は約2300万円を個人・団体から募る。個人会員は一口1万円で、2000人が集まった段階で受付を終了する。

 武重氏は「皆で力を合わせて、中村正義の作品や生き様を川崎市から世界に発信していければ」と話している。

 この映画についての問い合わせは『父をめぐる旅〜異才の画家・中村正義の生涯』製作委員会(株式会社シネマネストJAPAN内)【電話】03(6904)4461まで。HP(http://www.senstone.co-site.jp/masayosi/)でも閲覧可能。

 中村正義…1924年、豊橋市生まれ。20代で日展に初入選。速水御舟の再来と呼ばれ、最年少で日展審査員に選ばれるが、翌年脱退。この頃から川崎市麻生区細山に移り住む。自宅兼アトリエで病と戦いながら創作に打ち込み、独創的で鮮烈な作風を生み出す。古い体質の美術界に挑みつづけ、新たな風を吹き込んだ日本画家。77年、52歳で病没。

 今村昌平…1926年、東京生まれ。58年「盗まれた欲情」で監督デビュー。ブルーリボン賞新人賞など受賞した。75年、映画人育成のため日本映画学校(麻生区万福寺)の前身である横浜放送映画専門学院を創立。83年「楢山節考」、97年「うなぎ」でカンヌ国際映画祭パルムドール賞(最高賞)を2度受賞する快挙を成し遂げた。06年没。
 

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