川崎市 住宅政策、量から質へ 基本計画の改定案を公表
少子高齢化や環境問題、社会情勢の変化に対応するため、川崎市はこのほど、「川崎市住宅基本計画」の改定案を公表した。量から質への転換を図り、全市画一的な政策ではなく、市民が主体となってまちづくりを進める「新しい公共」という仕組みを盛り込んだ。
「川崎市住宅基本計画」は93年に策定され、これまで99年と05年の2回改訂された。今回の改訂案は11年度から20年度までの10年間を計画期間とし、東日本大震災の検証や社会経済情勢に応じて概ね5年をめどに計画を見直す。
資料によると、川崎市の住宅を取り巻く状況は量的には充足しているものの、借家を中心に狭小な住宅が多く、質の面では課題がある。最低居住面積水準に満たない世帯の割合は全国18大都市で比較すると東京、大阪についで3番目に高い。
世帯構成と住宅のミスマッチの課題もある。持家に居住する高齢者の単身や夫婦世帯の半数以上が専用面積70平方メートル台以上の比較的広い住宅に住んでいるのに対し、借家に居住する4人以上の家族世帯の約8割が比較的狭い住宅に住んでいるという統計がある。
新耐震基準を満たさない住宅が全体の13・5%にあたる約8万3000戸あり、耐震化が進まない課題も浮かび上がった。
「新しい公共」活用
こうした状況を踏まえ、施策の柱の一つには、既存住宅の良質化や改善する方針を盛り込んだ。戸建て木造住宅の耐震化を図るため、診断士の派遣や耐震改修助成制度の活用を促す。高齢者や障害者に対応した住宅確保には市営住宅の活用策を盛り込んだ。既存の市営住宅ではエレベータの設置やバリアフリー化を推進し、住戸の改善や低層階への住替えによって効率的な運用を図るという。
居住者のニーズに対応し、ミスマッチを解消するための施策の1つとして、良質な賃貸住宅の供給を図る方針。高齢者や若者単身者には定期借地権方式を活用したグループ居住などの新しい手法を推進する。
こうした施策を推進するため、改定案では「新しい公共」という概念を打ち出した。NPOやボランティアなどの市民活動団体を「公的領域の新たな担い手」と位置付けている。
市民意見を募集
市では改定案に対する意見を今月30日まで募集している。区役所ほか、市のホームページで閲覧できる。
問合せはまちづくり局住宅整備課(【電話】044・200・2995)まで。
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