「災害弱者 地域で守れ」 自治会、障がい者団体などが懇談会
高齢者や障がい者などを災害時にどう守り支えていくかを地域で考える懇談会が今月10日、麻生区役所で開催された。自治会や福祉施設、ボランティア団体などが参加し、麻生区の避難体制のあり方などを話し合った。
この懇談会は、麻生区社会福祉協議会在宅福祉サービス部会が毎年2月に開催している。昨年は懇談会からわずか数日で東日本大震災が発生。災害弱者を取り巻く地域のあり方について様々な課題を突きつけられた年となった。
自治会や支援団体、福祉施設やボランティア団体、小中高等学校、老人クラブ、民生委員、消防、警察、区役所などが一堂に会し、これまでで最も多い約120人が参加した。
高齢者や障がい者など震災時に援護を必要とするいわゆる「災害弱者」については▽避難をどう援護するか▽安否確認をどう行うか▽避難所でどう生活するかなどの課題が浮き彫りになった。震災後いち早く被災地に入った川崎市健康福祉局医務監の坂元昇氏は講演で、避難所での障がい者や高齢者の様子を紹介した。多くの人々が身を寄せる避難所に馴染めない高齢者や、混乱する障がい者などに触れ「平常時には彼らを援護しようという人も多いが、被災時は皆が支援を必要とする被災者。そうなった時に誰がどのように支えていくかを考えなくてはならない」と話した。
坂元氏は今回のような大規模な被害が出た場合、地域コミュニティーそのものが離散・分解されてしまうことにも言及。現在も仮設住宅などで高齢者の孤独死が相次いでいることなどを挙げ「地域という軸を失った時、いかに孤立させない環境をつくれるかが重要」と投げかけた。
障がい者の避難所確保求める声も
坂元氏の講演後、参加者らはグループごとに分かれて意見を交わした。「災害時の要援護者支援のために普段私たちができること」をテーマに様々な意見が飛び交った。今回の震災でも浮き彫りとなった障がい者の避難所確保を求める声も挙がり、麻生区での対策としては車椅子などでも活動しやすい環境が整う養護学校などを指定してはどうかとの具体的アイデアも飛び出した。
障がい者の避難所確保については、障がいによって必要な支援が多岐に渡ることなどから、管理者を誰にするかという問題や、障がい者がどのように避難所までたどり着くかといった問題が立ちはだかる。参加者のひとりは「もっと多くの人の議論が必要だが、なるべく早く対策を練らねばと感じている。行政に頼らない地域の力をいかし、何とか良い方法を見出したい」と話していた。
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