麻生総合高等学校 被災高校にテント寄贈 「学校行事に役立てて」
麻生総合高等学校の1年生らが先月23日、福島県立いわき海星高校にテント1基を届けた。津波の被害を受け、学校行事に欠かせないテントを失った同校のために全校生徒で支援に取り組んだ学生の思いを取材した。
県立麻生総合高校(麻生区片平1778)の生徒会では昨年の4月頃から校内で募金活動を行うなど、被災地支援の取り組みを生徒主体で行ってきた。昨年秋に行われた文化祭では収益金と募金で18万6806円を捻出した。生徒会ではこの収益を被災地で生活を送る同世代の高校生のために役立てたいと提案。同校で福島県の高校生を受け入れていたことなどから、寄贈先を福島県の高校に決めた。
学校の選定にあたっては、福島県の新聞社に相談した。現地の記者から福島県沿岸部に津波による甚大な被害を受けた県立高校があると聞き、生徒たちは被災高校の厳しい現状を知ることになった。福島県立いわき海星高校はいわき市小名浜にある県内唯一の水産高校。同校では2人の生徒が犠牲になった。校舎は壊滅的な被害を受け、備品や施設の一部も流された。学校行事には欠かせないテントも流され、卒業式や入学式など様々な節目に使用できない状況だった。
生徒会のメンバーらが中心となり、被災高校にテントを送るプロジェクトが立ち上がった。活動の中で大木弘樹さん(1年)と吉田泰寿さん(1年)の1年生コンビが「直接行って現状を見届けたい。自分たちにできることを探したい」という気持ちで名乗りを上げたという。
大木さんらは教諭らとともに先月23日、福島県にある同校を訪れた。海星高校の生徒会のメンバーらとの交流の中で、被災直後の写真などを目にした。大木さんは「教室の天井にロッカーが突き刺さり、バイクが廊下に横たわるのを見て、これが現実とは思えないくらいだった」と話す。
水産高校として授業で海にでる機会が多い同校の生徒は、福島県産の水産物が受けている風評被害に対しても深刻な問題と受け止めていた。「放射能汚染も不安。風評被害も不安。今後も続いていくだろう影響に私たちは向き合っていかなくてはならない」。同世代の悲痛な訴えが心に残った。
被災地から戻った吉田さんは「頑張ってくださいではなく、これからも一緒に頑張ろうという気持ちを伝えられた」と振り返る。
いわき海星高校の澤尻京二校長は「1年前は大変な状況だったがこうした各方面からの協力に本当に感謝している。高校生の若い力が復興を引っ張っていってくれることに期待している」と話している。
両校の名前が刻まれたテントは7月に行われるいわき海星高校の行事で初お披露目される予定だという。
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