栗木山王山特別緑地 情報技術で里山再生 川崎市と富士通が協力
川崎市と富士通株式会社(山本正已社長)がきょうから合同で麻生区栗木にある「栗木山王山特別緑地保全地区」の里山再生に着手する。市が企業と協力して緑地保全に取り組むのは初めて。保全活動には同社独自の情報技術が活用される。
「栗木山王山特別緑地保全地区」は麻生区栗木に位置し、町田市との市境の尾根から斜面に広がる約2haの緑地。黒川、岡上、早野地区を結ぶ多摩丘陵の一部で、「川崎市緑の基本計画」に基づく「多摩丘陵軸」に位置づけられている。
1960年代までは薪材や竹材を伐採しながら里山として人の手が入っていたが、石油やプラスチック製品の流通とともに人が離れると荒廃し、現在は竹類が侵入する荒地となっている。
川崎市と富士通株式会社が協力して策定した保全管理計画では、雑木林に侵入した竹類の伐採や下刈り、高木の剪定、萌芽更新を行い、約7年をかけて里山を再生することを掲げた。
富士通はこうした活動に社員を動員するだけでなく、同社が持つ情報通信技術を里山再生に活用していく方針。現在の雑木林が生態系上位に位置する「シジュウカラ」の住環境に適しているかを評価する独自システム「かんたんHEP」を活用するほか、GPS機能付携帯電話で撮影した位置情報と画像を地図上に配置して閲覧できる「携帯フォトシステム」で雑木林の状態を管理する。
市と同社は今月24日、緑地保全管理活動覚書の調印式を市役所で行った。市建設緑政局緑政部緑政課では「企業のマンパワーだけでなく技術を役立てようという取り組みは全国的に見てもとても珍しいと思われる」と話している。
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