緑地保全に企業の技術 川崎市と富士通が区内栗木で調査
川崎市建設緑政局緑政部緑政課と富士通株式会社の社員が先月27日、区内栗木にある「栗木山王山特別緑地保全地区」で生態系の調査を行った。冷たい雨が降りしきる中、職員らは独自のチェックシートとGPS機能付き携帯電話を使い、緑地の実態を記録していった。
川崎市と富士通株式会社は先月末、同緑地の保全活動に向けて協力する覚書を締結していた。今回の調査はこれから保全活動をするにあたり、事前に緑地の状況を確認し、活動前後の変化や効果を測定しようと行われた。
調査には富士通株式会社などが開発したシステム「かんたんHEP HSIカルテ」を活用した。このシステムは生態系上位の生物の住環境を調査し、その土地の生態系の多様性を判別する手法。今回は生態系上位のシジュウカラを対象に調査。シジュウカラが捕食する動植物や生息環境が整っているかを調べることで、緑地の多様性を調べた。シジュウカラの採食条件や水条件、繁殖条件などが整っているかをチェックシートで照らし合わせながら、雑木林と竹林をくまなく歩き回った。チェックシートによる調査に加え、GPS機能付き携帯電話で現地の昆虫や植物などの写真を撮影。位置情報と画像を地図上に配置して閲覧できる「携帯フォトシステム」を活用し、遠方からでもパソコンで緑地の生態系が把握できるよう準備を進めた。
メンバーらは珍しい動植物を発見するごとに「これ何かな」などと夢中になり、参加者の一人は「山の中で宝探しをしているみたい」といきいきした表情で調査に勤しんだ。
川崎市建設緑政局緑政部緑政課の石川久さんは「企業がもつ技術を保全活動に活用することで、活動の成果や実態を数値でとらえることができるようになる。これは活動の励みにもなり、結果として継続的に活動が行えるというメリットにもなると考えている」と話している。
実際、新芽の育成を阻害するアズマネザサが生い茂っているエリアが緑地内にあり、全てを伐採する予定だったが、今回の調査でヤブの中にウグイスなどが生息している可能性が分かり、一部を残すような案も出ているという。
今回の調査に加わった緑政課の小林朋生さんは「民間企業の技術を緑地保全に活用してもらうことで、多くの生き物が生息できる緑地が残せる」と分析する。
今回の調査結果は富士通株式会社の生物情報収集システム【URL】http://bio.ikimonosirabe.info/psystem/で閲覧可能。撮影開始・終了日を4月27日に変更し、テーマを「川崎市栗木緑地保全」に選択して、表示をクリックすると閲覧できる。
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