HIV検査 普及週間で受検者増へ 昨年6月、市内で194件
HIV(ヒト免疫不全ウィルス)検査の普及を目的に、2006年度から全国で毎年6月1日〜同7日に行われているHIV検査普及週間で、川崎市は同期間中、検査の浸透促進に向けた取り組みを実施した。市健康福祉局によると、ここ数年、普及週間を行う6月は検査を受ける人数が月平均数を上回っている。一方、一部の専門家は、他の先進国と比べ日本の受検者数の少なさを指摘。同検査への日本人の関心の低さに警鐘を鳴らしている。
各区保健福祉センターは例年の同期間中、通常の検査時間を拡大し、夜間や週末にも受検できる「イベント検査」を行ってきた。
同局によると、市内における6月のHIV検査件数は、09年度が158件、10年度が177件、11年度が194件と、ここ数年増加。月別では09年度を除き、ほぼ毎年、6月の検査件数が月平均数を上回っている(左図参照)。
市内における新規の感染者と、感染後に発症したエイズ患者の報告数は、08年度が14件、09、10年度がともに16件、11年度が17件と微増を続けている。
市は「世界エイズデー」にあたる12月1日の前後などにもイベント検査を実施。HIV検査のさらなる浸透に努めるとしている。
「予防意識の啓発を」
厚生労働省エイズ動向委員会によると、日本国内のエイズ患者数は年々増加の傾向にある。11年度の報告数は10年度比4件増の473件に上り、過去最多を記録した。
国内でのHIV感染者の報告数は昨年度、10年度の1075件を下回る1056件。過去最高だった08年度の1126件より70件少ないが、過去4位の報告数だった。自治体別でみると、神奈川県での昨年の新規感染者、新規患者の報告数はともに全国で4番目に多かった。
エイズに関する正しい知識の普及や治療法の研究、エイズ患者への差別解消などに取り組む公益財団法人「エイズ予防財団」(1987年設立、木村哲理事長)によると、日本は先進各国と比べ、HIVの検査件数が少なく、エイズを発症して初めて感染が分かる患者が増加しているという。
同財団担当者は「日本人の中には、エイズをアフリカなど海外だけの病気と考えたり、対岸の火事と捉えたりする人が多いのでは」と指摘。対策として「学校や企業が、学生、社員ら向けにエイズ予防の意識をさらに啓発していくことが大切」と話した。
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