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麻生区版 公開:2012年10月12日 エリアトップへ

柿生郷土史料館タイアップ企画 柿生文化を読む 第25回 昔、柿生で行われていた雨乞いの神事とは?

公開:2012年10月12日

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 川崎市北部の丘陵地帯では、梅雨が明けた7月から8月にかけて全く雨の降らない年がよくあったそうです。そうなると村全体の重大な問題となるので、村民が一致して心を合わせて大山の阿夫利(あぶり=あめふり)神社に詣でることになります。

 村では「代参(だいさん)=村人の代表になって寺社へお参りにいく人」が大山神社へ行き、お参りをして、霊水を竹筒に入れて村に持ち帰ります。その時、運ぶ途中で止まると、止まった地点に雨が降ってしまうと考えられたため、一切休まずに戻ってこなければいけなかったそうです。

 しかしこの習俗は昭和20年代頃にはなくなってしまったそうです。昭和63年の川崎市の調査報告書を見ると、柿生では比較的湧き水などの多かった古沢や黒川、王禅寺などでは雨乞いの神事の体験者が少ないようですが、下麻生、上麻生ではこんな話が寄せられていました。下麻生では、現在の柿生中学校近くを流れる谷川や、2つのため池に水路を設け、用水としていましたが、日照りが続くと畑は水不足でオカボ(畑地に栽培するイネで水稲より品質が劣る)の穂が出ないこともありました。夜、ひそかに水門をあけたりして小さな水争いがよくおきました。さらに日照りが続くと、村人が相談しあって大山への代参者を2人選び、はだし足袋(=はだしたび、地下たび)、ももひき、はらがけ、半纏姿で大山まで10里(約40キロメートル)の道を歩き、そして大山でご神水をいただきます。帰り道は途中で休むとその地に雨が降り、自分の村には降らないという言い伝えを信じながら、絶対に休まず下麻生への道を急いだそうです。

 村では村人が月読神社に集まって、待っていて、いただいてきたお札と神水を神社に供え、村の長老を中心にして「雨を降らせたまえ」ととなえて祈祷しました。雨が降るとおしめり正月といって一日から二日にかけて仕事を休んだそうです。

 一方、上麻生では代参が帰ってくると、いただいてきた神水をシメ縄を張った竹にかけると、それを合図にして「サンゲサンゲ 六コンショウジョウ」ととなえながら水を掛け合ったそうです。その後、雨が降ると「おしめり正月しなくては」と話し合っていたそうです。また、上麻生の仲村では村長さんの家の庭で、青竹を中心にして稲藁でひげと目がしっかりついている竜を作り、それを麻生川に入れ、「六コンショウジョウ 雨を降らせたまえ」といって水を掛け合いました。やがて竜がうきあがってくると雨が降るといわれていたようです。

 不思議なことに雨乞いをすると本当に雨が降ることが多かったそうです。

 参考資料…「川崎市博物館資料調査報告書―昭和63年3月―」

柿生郷土史料館の開館日

 10月20日、27日(毎週土曜日)。11月4日、11日、18日、25日(毎週日曜日)※10月13日は柿生中バザーのため休館とします。開館時間は午前10時から午後3時まで。
 

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