麻生区版 掲載号:2012年11月23日号
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柿生郷土史料館タイアップ企画 柿生文化を読む 第28回 生麦事件の真相を探る(2) -なぜ?イギリス人殺害の理由は?-

 前回は生麦事件発生時の概要を考えてみました。今回は事件の背景についてもう少し掘り下げてみたいと思います。

〈事件の背景には何があったのか〉【1】当時の日本人の外国人に対する意識を考えてみましょう

 欧米諸国の圧力に屈して締結した日米修好通商条約(1858年=続いて蘭、露、英、仏の5カ国と締結)や、条約締結による物価上昇などの経済的混乱などから反欧米への機運が高まり、倒幕、攘夷(欧米諸国を追い払うという考え)などの運動につながっていきました。

 また記録(「国史教育」生麦事件で夷人を殺した私)によると、日本人が礼を尽くさねばならない大名行列に平然と乗馬しながらやってくる外国人に日本の侍たちは大変強い憤りを感じていたようです。我慢の限界で、ストレスもかなりたまっていたものと思われます。

 【2】当日、被害を受けたイギリス人たちは何のために生麦周辺にいたのでしょうか

 事件当日、死亡したイギリス人リチャードソンを含めた4人のイギリス人は、川崎大師見物のため、居留地(外国人が居住を認められた場所)の横浜から野毛山、平沼を越え、台町付近から海岸に出てボートで東海道の神奈川宿(JR東神奈川駅近く)に渡りました。そこから馬で目的地の川崎大師に向かう途中、事件に遭遇することになります。当時、外国人が散歩などに出てよい範囲は多摩川までで、その間の眺めは良い場所が多く、生麦の茶屋に立ち寄ってビールを飲み(すでにこんな店があったのですね!)、川崎大師を見物することが休日の定番コースとなっていたようです。

 【3】当時、外国人は大名行列に対し、どのような対応をしていたのでしょうか

 実は事件が発生する直前、もう少し江戸寄りの場所でアメリカ人商人が薩摩藩の行列に遭遇していました。この時、彼は馬から降り、脱帽して敬意を表していました(当時、大名行列に土下座するのは御三家の行列のみでした)。そのためか何の問題もなく行列は通過していました。また幕府は、大名行列がある場合は直前に各国領事館に通報することもあり、問題が発生しないよう気を使っていたようです。

 【4】殺害されたリチャードソンとはどんな人物?

 リチャードソンは20歳の時、上海で貿易商を営み、上海〜長崎間の定期航路を開設するなど財をなしました。28歳の時帰国することになりましたが、その前に日本に立ち寄ろうということで約1カ月前から日本で知人の家に逗留していました。彼の評判は上海の商人仲間からは比較的良好でしたが、一方粗暴、礼儀知らずでアジア人を蔑視する態度がよく見られたという記録も残っています。

 【5】事件発生現場はどんな場所だったのでしょうか

 東海道といっても一般的には道路幅が大変狭く、先頭付近はわずか2列です。殿様の駕籠付近になると警護の数も増えるので、大変狭い状況のなかで行列を進めていかなければなりません。このような中で4人もの外国人が馬に乗って行列の中に入り込むのですから、人も焦り、馬も興奮するはずです。

*  *  *

 そんななかで発生した事件でした。次回は事件の影響について考えてみます。

 参考資料▽「国史教育」=昭和12年、「薩摩とイギリスの出会い」
 

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