麻生区版 掲載号:2012年11月30日号
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11月30日に始まる「シベリア抑留関係展示会」の神奈川県展示会実行委員長を務める 遠藤尚次(しょうじ)さん 久地在住 86歳

「シベリアの歴史、後世へ」

 ○…「できる限りシベリア抑留の歴史を語り継いでいきたい」。全国強制抑留者協会が高津市民館で開催する「シベリア抑留関係展示会」の神奈川県展示会実行委員長として指揮を執る。21歳から約3年半にわたり、シベリアでの抑留、強制労働を経験。同展示会では、歴史の語り部として当時の体験と平和の尊さを伝える。

 ○…大正15年、久地の農家に生まれる。9人兄弟の3男。「津田山で兵隊ごっこをして遊んでいた」と幼少期を振り返る。昭和15年に市内の電気メーカーに入社後、20歳で徴兵され中国に派遣された。当時の朝鮮に移り、21歳で終戦。祖国に帰還する日を待ち望んだが、無情にも過酷な運命が待っていた。帰国のために船に乗り込んだが「進む方向がおかしい」。到着したのは日本ではなく、ウラジオストクだった。大勢の戦友とともにシベリア鉄道で運ばれ、収容所での抑留生活が始まった。

 ○…重労働の毎日だった。極寒の冬、深い森に入り、全長1・5メートルほどののこぎりで巨木を伐採。豪雪の中を運搬し、橋や家屋の建築木材を切り出す作業を繰り返した。橋梁の修理などの大工仕事も続いた。1食分の食事は、豆などのスープ1杯とパン一切れだけ。次々と倒れる戦友たちの死に直面し「荼毘にふすため火葬した。親しかった友の顔が燃えていく様を目にし、数日間、食事が喉を通らなかった」。

 ○…苛烈を極める3年半の抑留後、帰国が叶う。実家で農業を続け、現在でも野菜を栽培している。その傍ら、厚生労働省が進める抑留地での遺骨収集事業などに参加。年に1、2回ロシアへ渡り、埋葬地調査などを続けている。「全部収集するにはあと20、30年かかるんじゃないか」。趣味は旅行で「国内には行ったことがない場所がほとんどない」ほど。最近のロシアを訪れ「街が綺麗になった」と隔世の感。歴史の証人が静かに微笑んだ。
 

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