川崎市 施設の充実はかる 小規模事業所にも有資格者
9月16日は敬老の日―。少子高齢化が進むにつれ、注目が集まる介護・福祉業界に関して、川崎市や麻生区を取りまく動向を探った。市は今年4月、通所介護事業所、介護予防通所介護事業所の人員配置基準において、従来は対象となっていなかった小規模事業所に関しても、理学療法士、作業療法士、看護職員など資格をもつ機能訓練指導員の配置を求めることとした。来年3月31日までを経過措置期間とし、有資格の機能訓練指導員の配置を呼びかけている。介護のニーズが高まる中、施設の充実をはかることが狙いだ。
市は今年4月、「川崎市指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準等に関する条例」、「川崎市指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準等に関する条例」などを施行。これに合わせ、認知症対応型を含むすべての通所介護事業所、介護予防通所介護事業所において、有資格の機能訓練指導員の配置を求めた。市では従来、利用者が10人以下の小規模事業所に関しては配置を求めていなかったが、今回の施行で義務付けることとなった。
機能訓練指導員に必要な資格は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、またはあん摩マッサージ指圧師。市内の事業所は最低限度の人員配置基準として定められる「機能訓練指導員1以上」を、経過措置期間である2014年3月31日までに配置しなければならない。実際の配置はそれぞれの事業所において提供する機能訓練の内容、程度により必要人数や時間が定められ、通所介護計画など各利用者の計画に定められた機能訓練を適切に実施するために必要な人員や時間数の配置が求められる。
市健康福祉局長寿社会部介護保険課は「有資格者の手で機能訓練を効果的に行うことが、利用者の身体の機能の維持につながっていくのでは」としている。
人材確保に課題残る
一方、介護の現場はどのような反応を示しているのだろうか。区内の小規模介護事業所から成る「神奈川県小規模事業所連携事業川崎市麻生区実行委員会」にも話を聞いた。事業所同士の連携を目的に専門家を交え、各事業所の職員らが実践的な研修などを重ねる同委員会。代表の笠原泰子代表は「区内の各小規模事業所は人材の確保に苦労していると思います。限られた人件費の中で、比較的賃金の高い有資格者を雇用することとなると、働く時間数も限られてきます。フルタイムで働きたい人には物足りないかもしません。しかし、シニアの有資格者など限られた時間の中で働きたい人にとっては、無理なく働けるいい環境になるかもしれません」と話す。
今回市は、小規模事業所にも有資格者を置くことにより、施設の充実度や介護の質を上げようとしている。今後は、人材確保という課題を解決することが求められる。
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