戦争遺跡保存求めシンポ 明大生田で16日〜18日
今こそ戦争遺跡を平和のための文化財に―。戦争遺跡保存全国シンポジウムが16日から18日にかけて明治大学生田キャンパス(多摩区東三田)を中心に開かれる。戦争遺跡に関する国の調査がなかなか進まない中、横浜・川崎市内の市民団体が実情を報告し、保存や活用のあり方を訴える。
主催するのは「第18回戦争遺跡保存全国シンポジウム神奈川県川崎大会実行委員会」(姫田光義実行委員長/山田朗実行委員長)。「登戸研究所保存の会」「日吉台地下壕保存の会」「蟹ヶ谷地下壕保存の会」などのメンバーで構成する。
今回の会場となる明治大学生田キャンパス内にはかつて、旧日本陸軍の登戸研究所があった。戦時中に細菌兵器や風船爆弾、相手国の経済を混乱させるための偽札が作られたという。戦後も秘密にされてきたが、80年代になってから市民による調査が進み、実態がわかってきた。
06年に市民らが「登戸研究所保存の会」を発足し、戦争遺跡としての重要性を訴えてきた。研究所の大半は解体されたが、10年に明治大学が資料館を建設した。資料館にはこれまで3万人以上が訪れたという。
また横浜・日吉地区や高津区蟹ヶ谷地区には旧日本海軍の基地として利用された地下壕があり、市民活動によって調査・保存が進められてきた。日吉台地下壕の見学会には年間2千人以上が訪れるという。
同実行委員会によると、こうした戦争遺跡は文化庁が調査する重要な遺跡だが、いまだに報告書が出されていないという。「文化庁の報告書を待つのではなく、市民が積極的に関わって行政に働きかけ、全国各地で保存と活用を図るべき」と訴える。
丹羽氏の講演も
シンポジウム初日の16日は「アジアの平和と日中関係のこれから」と題して前中国大使の丹羽宇一郎さんが記念講演を行う。全国ネットワークの基調提案や各市民団体の報告、交流会もある。17日は分科会が開かれ、18日は県内や都内の戦争遺跡を巡る現地見学がある。
16日と17日の会場は明治大学生田キャンパスA館校舎。参加費は16日のみが一般1000円。17日と合わせて2日間の場合は2000円。見学会は登戸研究所が無料だが、バスで巡るコースは4000円〜6500円。問い合わせは事務局次長の森田さん(【携帯電話】090・2221・4852)。
|
|
|
|
|
|