「万福寺人参友の会」会長として、継承・保存活動をする 高橋清行(せいこう)さん 千代ヶ丘在住 81歳
伝える情熱果てしなく
○…12日に行った千代ヶ丘小での万福寺人参の授業を終え、「子どもたちが『万福寺人参新聞』まで作ってくれて、やっていてよかった。胸が熱くなった」と話す。会長を務める「友の会」では、品評会など希少価値が高まる万福寺人参の継承・保存・PR活動を行い、約15年前の設立当初から区内小学校で種まきや収穫の授業を行っている。
〇…地元有志らと「友の会」を立ち上げたのは2000年のこと。万福寺土地区画整理事業が進む中、地形が変わり、歴史的な伝統野菜の危機を感じ、立ち上がった。市民館で種のまき方や育て方を教えたり、農家へ種の配布をしたりと地道な活動を続け、設立当初から行う品評会には徐々に出品者が増えていった。万福寺人参の授業に参加した小学生やその保護者から届く感動の声に「これがあるから、81歳になってもやめられない」
〇…岩手県出身。北上川水系の1つ、丹沢川下流域に広がる田畑に囲まれて育った。実家は代々続く専業農家で、小学生の頃から手伝い「自然と農のリズムに入っていて、畑仕事が大変という意識はあまりなかった」と振り返る。高校卒業後、父親から農業を学ぶことを勧められ、東京農大へ。大学卒業後は、同大の附属高校で生物の教師を務めるなど附属機関に勤めた。「あの頃から、子どもたちと山でよく遊んだものだ」と懐かしみ、区内古沢の遺跡などを子どもたちと巡る活動に通じている。
〇…故郷の北上川流域連携交流会員も務める。人に歴史を伝えることに夢中になったのは、「歴史的なものを風化させないために光をあてよう」と同交流会で父親らが行っていた北上川流域に残る河川文化を伝える活動に共感したことがきっかけだ。書くことも伝えるための1つの手法と考え、新聞や区の刊行物に寄せた原稿は200を越える。「全ては次の世代へ伝えるため」と、穏やかな表情に秘めた情熱は果てしなく続く。
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