日本映画大学(麻生区万福寺)の佐々木史朗理事長(76)が製作を務めた映画「岸辺の旅」(黒沢清監督)が、フランスで開催中の第68回カンヌ国際映画祭公式セレクションの一つ「ある視点部門」に正式招待を受けている。
映画の発展に貢献することを目的とし、各国の良質な作品を紹介するカンヌ国際映画祭。「岸辺の旅」は、失踪していた夫(浅野忠信)が突然自宅に戻り、その間の3年間で世話になった人々のもとを妻(深津絵里)と共に巡る、同名の小説を映画化したラブストーリー。佐々木理事長が代表取締役を務める(株)オフィス・シロウズが監督選定、俳優のキャスティングなど企画製作を担った作品だ。
同映画祭の正式招待作品となったこの映画について佐々木理事長は「黒沢監督にメロドラマを撮らせたら面白いんじゃないか、という発想が最初のきっかけ。かなり良くできた映画だと思います」と話す。
「このくらいは当たり前、くらいにならないと」
日本でも注目を集める「カンヌ」での正式招待だが、その知らせに対しては「作品が認められて良かったなというところ。特別な感情はありません」と冷静な姿勢を見せる。それは日本映画界に関わる人材を輩出する同校の理事長という自負からだ。
1975年、横浜で専門学校として開校し、1986年に新百合ヶ丘駅前に新校舎を完成、2011年に正式な大学となり現在に至るまで、監督のほか照明や録音など数多くの映画人を育成している同校。実際、今年のカンヌには専任教員の弦巻裕教授が録音を担当した「海街ダイアリー」(是枝裕和監督)がコンペティション部門に正式出品されるなど、関係者が携わる作品が国内外問わず映画祭にノミネートされることは多い。「どの映画の製作現場に行っても2割くらいはここのOBがいるんですよ。映画学部のみの単科大学ということで、日本映画大学は現場の人材が育つ場所なんだから国際映画祭に出品されることなんて当たり前、くらいの気持ちにならないと」と佐々木理事長。
「自分だけでなく、誰かの作品が賞を取れるかは楽しみですね」という今年のカンヌの各部門受賞作は5月24日(現地時間)に発表される。
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