神奈川県は先月27日、見直しを進めていた地震被害想定調査の結果を公表した。東日本大震災で得られた地震学の新たな知見を加え、県内に甚大な被害をもたらす可能性がある地震を洗い出し、被害を試算した。新たに想定したマグニチュード(M)7・3の都心南部直下地震の場合、特に川崎市に建物被害や死傷者が集中することがわかった。
被害想定は県地震被害想定調査委員会(吉井博明委員長)がまとめた。県の被害想定の見直しは、東日本大震災が起こる前の09年以来、6年ぶり。東日本大震災で明らかになった教訓や課題を踏まえ、地震学や地震工学、災害社会学の最新の知見を取り入れた。
前回調査から4地震を除外し、新たに6地震を加えた11地震について被害を試算した。このうち、元禄型関東地震や慶長型地震などの5地震は発生率が低いことなどを理由に参考扱いとした。
県内全域に最も甚大な被害があると想定されたのがM8・2の「大正型関東地震」。関東大震災の再来を想定し、県内の死者を3万1550人と予測した。川崎市内は震度7の揺れが想定され、死者を930人、建物の全壊は2万760棟、焼失は1万2780棟と予測した。
川崎市に最も甚大な被害があると想定されたのはM7・3の「都心南部直下地震」。国の評価では発生確率が30年間で70%とされ、横浜市・川崎市を中心に震度6強の揺れがあると想定した。県内の死者は2990人。川崎市の死者は1040人、建物の全壊は2万3310棟、焼失は1万3500棟にも及び、被害が集中すると予測した。県は調査結果を踏まえ、減災目標を定め県地震防災戦略を今年度中に改定する方針。
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