「かわさき農作物ブランド品」にも指定されている「多摩川梨」が収穫の時期を迎えている。天候不順などの影響もあったが、概ね順調な生育状況とのことで、今年も歴史ある夏の味が楽しめそうだ。
川崎市内での梨栽培は江戸時代初期に川崎大師河原周辺で行われた記録があり、本格的な栽培は今から約250年前とされている。全国的に知られた「長十郎梨」は多摩川沿いで最初に栽培された種類だという。その後、中原、高津、生田と多摩川を上るように梨の栽培地は広がっていき、大正時代には関東でも大きな梨の産地となったという。現在は、中原・高津・宮前・多摩・麻生区の約29万平方メートルで栽培されており、これらの総称が多摩川梨と呼ばれる。
糖度も問題なし
麻生区内での梨栽培は十数件の農家が行っている。区内早野で梨栽培を行う金子昇さん(78)の梨園約5000平方メートルでも「愛甘水」などの種類が収穫の時期を迎える。「今年は4月の気温が高く成長が多少早まったが生育は順調。7月の日照不足で甘さに影響が出るかとも思いましたが、糖度計で見ても問題はなかったので大丈夫です」と金子さん。梨の実は強風に弱く、みかんと比べても風で落下してしまうことが多い果物。実がなって収穫までの1週間ほどが大きくなる期間で、この時期などに風の影響を受けなければ今年も良い梨が出せると金子さんは期待を込める。
金子梨園では今シーズン、愛甘水のほか、「築水」、「幸水」、「あきあかり」、「秀玉」、「豊水」、「新高」など10種が順次収穫される。「幸水や豊水は米でいうコシヒカリみたいなもの。もちろん美味しいが、他の種類でも品質の優れたものはあるので好みの梨を見つけて欲しい」と金子さんは話している。
区内の梨の出荷は8月中旬から9月中旬にかけてピークを迎え、セレサモスでの販売のほか、直売などで10月半ばまで楽しめるという。
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