麻生区と多摩区で精神障害がある人の社会参加をサポートする「NPO法人たま・あさお精神保健福祉をすすめる会」(築根俊明理事長)。市民団体から始まった同法人の取り組みが20年の節目を迎え、6月には設立記念の講演会も予定している。
同法人の始まりは1995年10月。当時、川崎市北部に精神障害のある人が暮らすことの出来る住居が無く、社会環境の改善を目的に医療施設や福祉事業所、行政、家族会などが市民団体として会を設立。翌年、麻生区内にグループホームを開設し、以降麻生区と多摩区でグループホームや活動支援の作業所などを運営してきた。
精神障害者の社会参加機会や生活基盤の整備を進めていった同会。同様の活動を行っていた団体の運営を引き継ぐかたちで、支援する側の人材確保や活動の幅を広げ、2005年6月にはNPO法人格を取得。今では両区で就労支援の作業所やグループホーム、相談支援センターを含め14の施設運営を行っている。
会の発足当初から運営に関わってきた精神保健福祉士の青野眞美子さんは「以前と比べて環境が整ってきている実感はあります。病気や障害を抱えていても、この地域で暮らす仲間として繋がりを持って生きているという理解を今後も広めていければ」と話す。
青野さんは現在、2009年12月に下麻生にオープンした「ハーブカフェららら」に勤務し、働くメンバーのサポートなどを行っている。新たな就業機会の場として金曜と土曜にオープンするこのカフェでは、約20人のメンバーが軽食やハーブティーの提供と菓子製造を行っている。定期的なイベントの開催や自治会の祭り参加など、地域との交流も積極的に行っている。
同法人の理事を務める三橋良子さんは「障害のある人も無い人も、自分らしく豊かに暮らすことが出来るような街づくりを目指して、必要な事業として継続してきました。活動は地域の方々の協力や関係機関の支援があり、とても感謝しています」と話している。
精神障害の理解を深めて
NPO法人たま・あさお精神保健福祉をすすめる会が6月12日(日)、精神障害への理解を広めていこうと、専門家を招いた講演会を開催する。会場は川崎市アートセンターアルテリオ小劇場(麻生区万福寺6の7の1)で、開演時間は午後0時30分から3時10分(受付けは正午から)。参加費無料で先着100人。
家族で当事者でもある医師
同法人の設立20周年を記念した今回の催し。「当事者・家族・精神科医の立場から」と題された講演会に登壇するのは、静岡県焼津市で心療内科や神経科、精神科の診療を行っている夏苅郁子医師。家族の統合失調症や自身の摂食障害と向き合いながら、児童精神科医や精神保健指定医の立場から「心病む母が遺してくれたもの」、(日本評論社)といった著作の発表や講演を行っている。
この講演会に関する問い合わせなどは地域活動支援センターがあでん・ららら(【電話】044・989・8323)へ。電話は平日午前9時から午後5時まで。
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